最強の防具

さぁ、反撃開始だ。


「乾坤一擲!」


ダンジョン攻略で手に入れた物理スキル『百練』の1つだ。

威力が高過ぎて使用を自粛してたけど、今こそ使い時。

確実な手応えがあった。


ドコッ


ボスロボが吹き飛ぶ。

僕は右手に光魔法。

左手に闇魔法。

交互に叩き込む。


基本的な防御力が高い。

吸収はされないけど、簡単には倒せない。


これなら!


「虚無」


禁術だ。

圧倒的な闇がボスロボを飲み込む。

メキメキメキ

軋む音が聞こえる。


だが、まだ沈まない。


ウィィィィィィン!!

ボスロボから大きな音がする。

ボディの赤い部分が輝きだす。

本気ってとこかな。


ダンッ

爆発的なダッシュ。

素早さが劇的に上がっている。


でも!

それだけで負けるほどではない。

十分対応出来るスピードだ。


ミサイルの乱射からの接近戦。

ワンパターンだ。


「乾坤一擲」


からの!


「虚無」


吹き飛ばされたボスロボを闇が無慈悲に飲み込む。

闇が晴れた時にはボスロボは破壊されていた。


『見事だ。

 最強の矛よ。

 そなたの刃は最強の盾を貫いた。

 そなたには最強の鎧を授けよう。

 その強さはたった今体験したことだろう。

 武の頂を目指すのだ。』



目の前には黒地に赤の差し色が入ったデザインの鎧だ。


特殊効果で、

サイズ自動調整

自動修復

火、風、水、雷、氷、土属性吸収

物理低減 極

重量軽減 極


更に元々の物理防御力や魔法防御力も非常に高い。


今持っているどの鎧よりも能力が高い。

フロアボスを倒して手に入れた鎧もいくつか持っているけど、破格の性能だ。

ほとんどの属性魔法は吸収しちゃうし、物理ダメージはむちゃくちゃ削減してくれる。


しかし!

大きな欠点が1つあった。

それは・・・似合わない。

致命的なぐらいに僕に似合わない。


非常にカッコいい鎧だけに、僕にはまったく似合わない。たぶんエリオさんなら似合うんだろうけどね。

僕にはまったく似合わない。

これはすっごく恥ずかしい。


完全にイケメン専用の雰囲気がある。

僕が装備したら笑われそうだな。

仕方ない・・・

死蔵品になってもらおうかな。

僕がいきなりイケメンにはなれないからね。


ん、

そうだ!

鎧のデザインを変えてしまえばいいんだ。

リメイクしてもらおう。

性能はこのまま。

見た目だけ、普通の鎧っぽくしてしまえばいいんだよ。

こういうのはガンズさんだよね。

世界有数の職人さんだし。


慌てる必要はないかな。

ガンズさんのいるベルン王国に行く前にヘーデン王国にも寄っていこう。通り道だからね。

ヘーデン王国はお皿とかが名産の国だから、そこで新店舗向けのお皿とかを揃えてしまおう。


その後、ガンズ工房でリメイクしてもらおう。僕にも似合うデザインに出来るでしょ。



とにかく今回も無事にダンジョン攻略成功した。これで残るダンジョンは3つかな。まぁ急ぐ必要もないし、時間がある時に行けばいいでしょ。いつでも攻略は出来るからね。


その日の夜、満腹亭に戻ると鎧をみんなにお披露目。

僕は着たくなかったから、何人かに試着してもらった。

試着したらアイラさんが一番似合ってた。

次点はエリオさんかな。


「アイラさんにあげようか?」


アイラ

「勘弁してくれ。

ダンジョン最深部の秘宝など荷が重過ぎる。

私の力量に見合わない。」


「じゃあ、エリオさんは?」


エリオ

「辞退します。

持っていることが知られたら、大国が全力を挙げて手に入れようとするような代物です。

アキラ様が持つしかありませんよ。」


「は~、仕方ないな~。」


よし、リメイク決定だね。

モルトさんとスケジュール調整して出発しよう。ヘーデン王国経由でベルン王国に入れば効率良いもんね。

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