警告

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今回は別人の話です。

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少し前の話。


アーサー王子は側近に指示を出していた。

内容は、アキラについて調べろ。

パエルモ伯爵とセージ団長が脅してきた。

交渉では折れるしかなかった。


おもしろくなかったのもある。

だが、あの2人がそれほどに肩入れするアキラという男に興味が湧いた。

どういう男なのか調べるように指示を出した。


だが、、、


アーサー

「アキラの調査はどうなっている。」


側近

「申し訳ございません。

外堀は調べられるんですが、店に近付いた調査員がすべて辞職を願い出て来るので、、、

これ以上の調査継続は困難です。」


アーサー

「ちっ」


側近

「アキラは凄腕のテイマーとの評判です。

おそらく、探知能力が高いモンスターがいるのでしょう。」


アーサー

「テイマーか。」


側近

「はい。

どうやら先頃のバレティアでの戦いで勝利に貢献したようです。」


アーサー

「それでセージが気に入っている訳か。」


側近

「おっしゃる通りかと。

ただ店の周辺はこれ以上調べられません。」


アーサー

「わかった・・・。

地位を求めていない。

金も十分に持っている。

なら、、、女か。

エレノアを使うぞ。」


側近

「承知致しました。

ではエレノアを向かわせます。」


アーサー

「さえない見た目の男だ。

エレノアの手にかかれば、すぐに忠犬のように尻尾を振るようになるさ。

ふっ。」


側近

「仰せのままに。」




数日後の夜。

アーサー王子がゆっくり眠っている。

広い寝室で眠るアーサー王子の横に立つ人影。

おもむろに馬乗りになる。


アーサー

「うっ、、、

ん!?

何者だ!」


暗くて顔は見えない。


「くだらないことをするな」


女の声だ。

アーサーは女を振りほどき、立ち上がる。


枕元のライトをつける。

うっすらした明かりの中、女の顔が見える。

フラフラと立つ女の顔には見覚えがあった。


アーサー

「エレノア!?

どうやってここに入った!?」


エレノア

「くだらないことをするな」


会話にならない。

目も虚ろだ。


アーサー

「何を言ってるんだ?」


エレノア

「くだらないことをするな」


三度言うとエレノアが倒れこんだ。


アーサーは部屋のドアを開ける。

ちゃんと衛兵が2人立っている。


アーサー

「おい。

この女を拘束しろ。」


衛兵A

「えっ??」


衛兵B

「いつ入ったんだ!?」


アーサー

「詮索は不要だ。

朝になったら取り調べる。

閉じ込めておけ。」


衛兵A

「承知致しました。」


その後、衛兵は増員を呼び、エレノアを運び出した。


アーサー

「私の部屋に侵入されたことに衛兵たちは気付いていなかった。

エレノアの様子は普通じゃなかった。

何者かに操られていた可能性が高い。

『くだらないことをするな』。

これはエレノアを通じてのメッセージだろう。

・・・アキラだな。」


エレノアを私が使ったことを見抜いたんだろう。その上でエレノアを操り、衛兵たちの警備をすり抜け、私の寝室まで行かせた。

・・・その気になればいつでも殺せるぞ。

そういう脅しだ。


信じ難い化け物だ。

ここは王宮だぞ。

この国で最も警備されている場所だ。

そこに誰にも気付かれずにエレノアを送り届けてきた。

あり得ない能力だ。


とんでもない男を敵に回してしまったのかもしれない。。。

手駒にするつもりが最悪の結果だ。


仕方ない。

関係改善を図ろう。

これ以上強引な手段を使っても逆効果だ。

不本意ではあるが、この選択を誤れば致命的だ。プライドなどと言ってられない。


贈り物でも用意して機嫌を取ろう。

これだけの力を持っているんだ。

ようやくパエルモ伯爵やセージ団長が肩入れする理由が理解出来た。

上手く使えれば私の運命も変わるかもしれん。劇薬だが、、、使いこなしてみせる。

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