新店舗の構想

僕、モルトさん、エマさん、エリオさんの4人でテーブルに座った。


「改めまして、

今回はこの3名を採用とさせて頂きます。

宜しくお願いします。」


僕が一礼すると、3人からも、

「「「宜しくお願い致します。」」」

との返答があった。


採用に際して、給料の相場はイリーナさんに聞いている。それよりも高くはしているけど、常識の範囲だと思う。


「3人にはいずれ王都に作る新店舗で働いてもらいたいと考えています。

それまではここで働いてください。」


モルト

「新店舗はどんな店舗にされる予定ですか?」


「高級レストランのイメージです。

ディナーのみ、客席も個室にして少なくするつもりです。

モルトさんにはコース料理を提供してもらいたいです。基本的におまかせのみって感じで。」


モルト

「なるほど。」


「季節や食材に合わせて自由にコース料理を作ってもらいたいな。価格設定はこれから相談したいけど、かなり高めにするつもり。

それと、オープンまでにスペシャリテを考えて欲しいです。コース料理の中で、そのスペシャリテだけは固定する感じ。」


モルト

「なるほど。

店の代名詞になる料理という訳ですね。

わかりました。

考えてみます。

用意できる食材などによりますので、また相談させてください。」


「宜しくお願いします。

エマさんとエリオさんはしばらくは満腹亭で働いてください。

後、エリオさんはお酒ってけっこう詳しいですよね?」


エリオ

「最低限の知識はあるつもりです。」


「お酒の仕入れに協力してもらえませんか?

僕はお酒を飲まないし、全然知識も無いので。」


エリオ

「承知しました。

どのように買い付けるおつもりですか?」


「基本はコーラル商会から買う感じかな。

それとセントラル大陸西部のボトルって街にはコネがあるから、そこなら直接買えるよ。」


エリオ

「ほぅ。

ボトル産のワインは品質が良く、リズムリア王国でも人気が高いです。

特に高品質な物はドバン帝国で買われてしまう為、なかなか大陸東部には届きません。

希少性もあり、高額になっています。」


僕はいくつかボトルを出して、


「こういうのならけっこう持っているけど、どうかな?」


エリオ

「失礼。」


エリオさんが次々にボトルをチェックしていく。


エリオ

「味見してもよろしいですか?」


「いいですよ。

あっ、マユラさん。

昨日開けたワイン、まだ残ってるよね?」


マユラ

「まだ半分くらいしか飲んでないからね。

これだよ。」


エリオ

「・・・なかなかの物ですね。

高級店なら1本で2,000ウォンカぐらいはするでしょう。

このクラスのワインを潤沢に用意出来れば、ワインはなんの問題もありませんよ。」


マユラ

「えっ!?

そんなに高いの!!」


マユラさんがショックを受けてる。

今までバカバカ飲んでたからね。


「購入した時はその10分の1以下だったよ。」


エリオ

「輸送コストと希少性です。

西部からの輸送は陸路しかないので、アカツキ王国などから仕入れるよりも、難しいんです。」


「そうなんだ。

ちなみにアカツキ王国産のお酒もあるよ。」


エリオ

「ベルフォート中心にリズムリア王国東部で人気があります。喜ばれるでしょう。」


エリオさんが頼もしい。

モルトさんもやる気満々って感じ。

エマさんもやる気だ。


「それじゃあ、当分は仮住まいになると思いますが、宜しくお願いします。」


モルトさんは既婚者で家族持ち。

今はパエルモ近くの別領で暮らしているので引っ越してくる予定。

エマさんとエリオさんは前に住んでいたアパートを出て、いくところに困っていたので僕が紹介することに。

僕もパエルモなら顔が利くようになってきたからね。

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