実技試験
応募者たちを引き連れて満腹亭に戻りました。そのまま全員でキッチンへ。
僕
「ここにある食材は自由に使ってもらっていいです。3名分の料理を試食するから、1人当たりの量は少なめにしてください。1人2品でお願いします。
フロア担当の6名は料理を給仕してください。ドリンク関係はそこにあるのを提供してください。
食べるのは私たち7名。
そのうち2名はキッチンにいるから机に置くだけで大丈夫です。
何か質問は?」
応募者
「フロア担当から料理人に声をかけることは可能ですか?」
イケメンの応募者から質問が出た。
黒髪の少し冷たい印象があるイケメン。
アイラ
「この9名で店をやっているというイメージで対応して欲しい。コミュニケーションを取るのは自由だ。
ただ料理の提供順は変更しないで欲しい。
誰の料理かわからなくなるからな。」
僕たちはバラバラのテーブルに座った。
リィズとフィオは厨房に入っていった。
しばらく待つとそれぞれの1品目が運ばれてきた。
スープとサラダとキッシュだ。
スープは鶏肉で作ったつくねに野菜たっぷりのトマトベース。
美味しい。
全体の味がまとまっている。
サラダは生ハムが入り、桃で作ったドレッシングがかかっている。ドレッシングの甘さと生ハムの塩味がバランスが良い。
キッシュは・・・
もう少しかな。
不味くはないけど、普通。
そして2品目。
ローストビーフ、白身魚のムニエル、スペアリブ。
ローストビーフは王道。
ドラゴン肉を使った贅沢な逸品。
白身魚のムニエルにトマトソースがかかっている。淡白な魚とトマトソースのバランスが良い。
スペアリブは少し香辛料がきつ過ぎるかな。
食べた感想と厨房で直接見てきたリィズとフィオの意見を合わせる。
うん。
一致しました。
モルトさん。
30代半ばの男性。
サラダとムニエルを作った人だ。
料理は美味しかったし、厨房での手際も良かったらしい。
現在、ある貴族のお抱え料理人をしているらしい。だが、満腹亭の料理を食べ、使っている食材の多彩さ、素材の良さ、調理法の幅広さなどに感動し、応募したらしい。
僕
「モルトさん。
この後お時間を頂いてもよろしいですか?」
モルト
「もちろん大丈夫です。」
僕
「ありがとうございます。
残りのお2人はご帰宅ください。」
フロア担当も話し合いをしたら、すぐに決まった。
エマさんとエリオさんの姉弟だ。
エマさんはゆるふわ系の美人さん。
優しそうな柔和な笑顔が印象的。
距離感が近く、良い意味で隙がある。
無意識に惚れさせてしまうようなタイプだ。
接客は非常にスムーズで好印象が持てる。
対して弟のエリオさんはクールなイケメン。
仕事の能力はピカイチ。
知らない料理人が作った料理も的確に説明し、合うお酒まで教えてくれる。
ただし、テキパキ完璧にこなすが、全体的な印象は冷たい。
対称的ではあるが、どちらも仕事は出来る。
新しいお店の中核を担うメンバーが決まったかな。
しかし、
最初の面接で、エリオさんには少し気になる点があった。
それは極度のシスコン。
「すべてはねえさんのため」
「ねえさんを守る」
「ねえさん以外はどうでもいい」
そんな発言ばっかりだったらしい。
満腹亭で働きたい理由も姉のエマさんが希望しており、一緒に働きたいから。
エマさんが不採用なら自分も辞退するつもりだったらしい。
エマさんは満腹亭の料理が好きだったらしく、ちょうど無職になっていたので応募したとのことだった。
・・・ちなみにエマさんとエリオさんが無職になった理由だが、以前に働いていたレストランでオーナーがエマさんに手を出そうとしたらしい。それに気付いたエリオさんがオーナーをボコボコに殴り、2人まとめて解雇となったようだ。
原因がオーナーの浮気だった為、訴えられることはなかったらしい。
仕事は出来るが、姉のことになると見境は無くなるエリオさん。
大丈夫かな?
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