人材募集

さっそくコーラル商会にやって来ました。


ガロッソ

「従業員を募集するのか?」


「そうです。

どうしたらいいですか?」


ガロッソ

「そうだな。

店頭に貼り紙をしたり、

ギルドに人材募集を掲示してもらったり、

知り合いの伝手で集めたり、だな。」


「なるほど。」


ガロッソ

「だが。

満腹亭の場合、気をつけないと大変なことになるぞ。」


「どういうことですか?」


ガロッソ

「応募が来過ぎるんだよ。

お前、従業員にむちゃくちゃ甘いだろ。

普通の飲食店の従業員はあんなに豊かな生活出来ないからな。」


「まぁ、今のメンバーは従業員って言うより、家族って感じだからね。

今度はいずれ王都で働いてもらいたいから、ちょっと線引きはするよ。」


ガロッソ

「それでも、だ。

それに純粋にアキラの店で働きたいって人間だけじゃねぇ。

お前の店を調べたいとか、

関係を繋ぎたいとか、

更には邪魔したいってヤツが山ほどいる。

そんなヤツが人を送り込もうとしてくるぞ。」


「え~、

困りますよ。」


ガロッソ

「お前が困ろうが事実だ。

ちゃんと対策を考えないと敵を抱え込むことになるぞ。」


「ガロッソさんはどうしてるんですか?」


ガロッソ

「一応雇う前に身辺調査はするし、雇っても信頼出来るまでは大事なことには関わらせないよ。」


そっか~。

今までは奴隷として購入してたから、奴隷の腕輪の効果で安心出来ていたけど、今度はそういう訳にいかないもんね。


「勉強になりました。

ありがとうございます。」


ガロッソ

「それと、王都で店を出すってことだが、満腹亭の2号店を出すつもりか?」


「いいえ。

少し違うタイプのお店にしようと思ってます。もう少し高級志向な感じかな。」


ガロッソ

「ほう。高級店か。」


「はい。

アーサー王子の要請もあったし、少し高級路線でもいいかなって思ってます。

デラーノさんのお店みたいなイメージかな。」


ガロッソ

「悪くないな。

だが、王都は貴族御用達の店が多数ある。

競争は激しいぞ。」


「そうですね。

もう少しコンセプトは練ってみようと思ってます。」


ガロッソ

「頑張れよ。」


「ありがとうございます。」



その後、面接の日程を決めて商人ギルドにも掲示してもらった。お店にも掲示した。


募集したのは

料理人 1~2名

ホールスタッフ 1~2名

この人たちを育てて王都出店の中心メンバーになってもらおうと考えてます。

だから、ずっと満腹亭で働く訳じゃない。

王都に引っ越せる人を前提にしてます。

年齢についても大人を前提にしている。

王都のお店はディナーがメインだからね。


募集をかけて後は待つだけ。

少しぐらいは応募があるといいな。




そんなことを思っていると翌日に、商人ギルドのギルドマスター、オリバーさんが僕のお店にやってきた。


「オリバーさん、どうしたんですか?」


オリバー

「どうした?ではない。

人材募集をしておるようだな。」


「そうですけど、、、

何か問題がありますか?」


オリバー

「ある。」


あっ、断言された。


オリバー

「これは新規出店を前提にしての人材募集だろう。複数の店舗を持つには最低でもCランクの必要がある。

知っているな。」


「何か、、昔に聞いた気がします。

でも今、Dランクなんで出店するまでに1ランク上げれば問題無いですよね。」


オリバー

「ルール上はな。

だが、お前の影響力を考えるとBランクにはなってもらいたいところだ。」


「BランクとCランクって何が違うんですか?Cランクでも複数店舗持てるならBランクになる必要は無いと思うんですけど?」


オリバー

「出来ることは同じだ。

だが、扱いは全然違う。」


「そうなんですか。」


オリバー

「うむ。

Cランクまでは本人がなりたいからなる。

しかし、Bランク以上は基本的にギルドからの要請だ。

それだけ商人ギルドにとって大切な人物であるという証明みたいなものだ。」

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