狂嵐のボウザー

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

今回は別人の話です。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


ボウザー

「ん?」


側近魔族

「ボウザー様、どうされましたか?」


ボウザー

「あちらの方角で異常な魔力を感じた。

一瞬だったが間違いない。」


側近魔族

「では、

調査にエポックを向かわせましょう。」


ボウザー

「嫌な予感がする。

調査の人員を増やしておけ。」


側近魔族

「承知致しました。」



ここは魔族の陣営。

ボウザーの指示により斥候隊が編成された。

ボウザーが指し示した方角はボルトの街だった。



エポック

「なんだ、この特大の結界は?」


エポックたち魔族の斥候4人はアキラの結界を発見した。


斥候魔族

「この辺りはただの農村のはずですが。」


エポック

「不自然だな。

これ程の結界を意味もなく張るはずがない。

もしかしたら、人間側の策略かも、、、

散開!」


リン

『気付くの早いね~。』


魔族たちが一気に四方に散ろうとした。

だが、1人はリンが放った闇の一撃に貫かれる。


エポック

「一撃だと!?」


リン

『弱いから仕方ないよ~。』


エポック

「クソッ!」


エポックは前面に特大の炎を放ち、即座に退却を始めた。

だが!


リン

『それじゃ煙幕代わりにもならないよ。』


リンの一撃がエポックを貫いていた。


一方、散開した魔族は走りながら、


斥候魔族

「何が起きているんだ?」


ゲコ

『知る必要は無いことだ。』


斥候魔族

「えっ!?」


だが、驚いた魔族の首は既に斬られていた。


ゲコ

『リンは遊び過ぎだな。

一撃で全員仕留めればいいところを。』




その後、魔族の陣営にて。


側近魔族

「エポックたちが戻って来ません。

何かあったのでしょうか?」


ボウザー

「知れたこと。

殺されたんだ、エポックたちは。」


側近魔族

「しかし、1人も戻って来ないのは異常です。」


ボウザー

「そんなことが出来るのは勇者だけだろう。おそらくランドルにいるのは偽物。

本命はこちらだ。」


側近魔族

「なるほど。

我々を挟撃する計画ですな。」


ボウザー

「小賢しいのが人間だ。

私と精鋭で勇者たちを叩く!

ランドル方面にはダミーを行かせろ。

騙されていると思わせておけ。」


側近魔族

「承知致しました。」



ボウザーは精鋭を引き連れてボルトの街を目指した。


側近魔族

「なんて大きな結界だ。」


ボウザーは射すような視線を感じた。


ボウザー

「気を抜くな!

既に敵のテリトリーだぞ!」


突如、地面が荒れ狂う。

地面が揺れ動き、ハリネズミの如く針が天を突く。

逃げ遅れた魔族が貫かれる。


ボウザー

「あれか!

あれが人間の切り札か!」


ボウザーの視線の先にはガウ。

王者の風格を感じさせる圧倒的な威圧感。


ボウザー

「倒す!」


ボウザーを中心に風の刃が荒れ狂う。

しかしガウには届かない。

ガウも風の刃を放つ。

風の刃同士がぶつかり合い、周囲を破壊していく。


ボウザー

「ならば!」


ボウザーの両手に力が集まる。

そして、手から強烈なトルネード。

両手から放たれた2つのトルネードが絡み合いながらガウを目指す。


ガウ

『ワォーーン!』


ガウの咆哮とともにトルネードが現れ、ボウザーのトルネードとぶつかり合う。


ボウザー

「強い。

俺と同等の風魔法が使えるオオカミなど聞いたことが無いぞ。

だが!」


土煙で視界が遮られた隙に、一気に動く。

ガウの背後に回り込む。

槍に渾身の力を込める。


ボウザー

「もらった!」


ボウザーは必殺の突きをガウの背後から放つ。しかし、槍は空を突く。


ボウザー

「消えた!?」


ボウザーは背後に気配を感じた。

まずい!

振り返る。

そこにはガウの姿。

逃げなければ。


ドサッ

何かが落ちる音。


下を見る。

そこには崩れ落ちる自分の体。


ボウザーはようやく理解した。

既に首を斬られているということを。


ボウザーが亡くなった時。

既に連れてきた精鋭たちも全滅していた。

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