大陸西部

ふらい屋もなんとか落ち着いてきたみたい。

今のところ大きなトラブルもなく運営出来ている。

もちろん、満腹亭も順調。

メニューもどんどん春っぽくしている。


これだけ順調だと、僕は暇になってくるので、恒例のダンジョンタイムにしたいと思っています。


ダンジョンの残り4つ。

北にあるツンドラ大陸に1つ。

西にあるアルガン大陸に1つ。

南にあるジャブル大陸に1つ。

セントラル大陸の西部に1つ。


実は次に行くところは考えてある。

セントラル大陸西部にあるダンジョンだ。

このダンジョンを登録してしまえば大陸の横断が一瞬で出来てしまう。

凄く便利だよね。


出発前にコーラル商会に顔を出した。

長期不在の時は、何かあったら困るのでコーラル商会のみんなには声をかけるようにしている。


「こんにちは。」


トマーシュ

「やぁ、いらっしゃい。

今日は会頭は出ているし、

マヘリアは商談中だよ。」


「大丈夫です。

今日はまたしばらく僕が店を留守にするから、よろしく、って挨拶だけなんで。」


トマーシュ

「そうかい。

わざわざありがとうね。

ちなみに今度はどこに行くんだい?」


「セントラル大陸の西部にあるダンジョンに行こうかと思って。」


少しトマーシュさんの顔が曇る。


トマーシュ

「アキラ君は大丈夫だと思うけど、大陸西部は危険な地域が多いからね。気をつけるんだよ。」


「何が危険なんですか?」


トマーシュ

「セントラル大陸の西にあるアルガン大陸は知っているかい?」


「はい。」


トマーシュ

「アルガン大陸は魔族と呼ばれる化け物に支配されていて、魔大陸とも呼ばれているんだ。そしてその魔大陸からやって来る魔族にセントラル大陸の西部は攻撃されているんだよ。」


「そうなんだ。

魔族ってなんなんですか?」


トマーシュ

「残念ながら私もあまり詳しい訳じゃないんだけど、、、

見た目は人間とそっくりらしい。

ただ、角がはえていたり、翼や尻尾がはえていたりするらしい。その魔族に似ているという理由から獣人への差別が広まったんじゃないかと言われているよ。」


トマーシュさん、博学。

十分詳しいと思うよ。


トマーシュ

「魔族はとにかく凶暴で当たり前のように人を殺すらしいんだ。だから西部では魔族との戦いが続き疲弊しているらしい。

僕たちからすると侵略してくる厄介なドバン帝国も、西部では人気があるらしい。反魔族の盟主であり、豊かな東部から物資を奪い、西部での戦闘に充ててくれる頼りになる存在らしいからね。

西部の人たちの感覚でいくと、

『西部が魔族の侵攻を止めているおかげで東部は豊かな生活が出来ているんだ、もっと物資を寄越せ。東部だけ安全なところで豊かな生活をしてズルい』ということらしいよ。」


「セントラル大陸も西と東で全然違うんですね。知らなかったです。」


トマーシュ

「アキラ君も強いみたいだけど、魔族とは関わらない方がいいと思うよ。

それと東部の人間だと知られないようにも気をつけた方がいいと思うよ。」


「わかりました。

気をつけます。

教えて頂いてありがとうございます。」


トマーシュ

「気をつけて行っておいで。」


「は~い。

行ってきます。」


魔族か~。

そんなに危険な種族がいるなら、満腹亭のみんなは連れて行けないな~。

簡単に僕が負けるってことはないと思うけど、おとなしくしておこう。

美味しい物探して、ダンジョンに入るだけだから、そんなに危険なことはないよね。


明日の朝、セントラル大陸中央にあるモルタナにダンジョンマップで移動して、そこから西に向かって飛ぶつもりだ。どんな旅になるか楽しみだね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る