ジャイアントスノーラビット
アーサー王子との面談の後。
後日、パエルモ伯爵とセージさんには正式にお礼をしました。
パエルモ伯爵には宝石と焼菓子のセット。
セージさんには武器と焼菓子のセット。
焼菓子はやっぱり飲食店のプライドみたいなものだよね。宝石とか武器で十分価値はあるけどさ。アイテム選定はイリーナさんにお願いしたから問題ないはず。
焼菓子はリィズとフィオに作ってもらったフロランタン。ナッツの食感とキャラメルの風味がたまらない仕上がりです。
ようやく落ち着いた毎日が戻ってきた頃、ロイズさんが訪ねてきた。ロイズさんは時々ランチを食べに来てくれているけど、今日は営業を終えた後だった。
ロイズ
「すまない。
少しだけいいかな?」
僕
「ええ、中へどうぞ。」
空いている席に座るように案内した。
アイラさんがお茶とお菓子を出してくれた。
ロイズ
「ありがとう。
相変わらず美味しいね。」
今日のお菓子はドライパイナップルにチョコレートがかかってるね。パイナップルの酸味とチョコレートの甘味が絶妙なバランス。
僕
「今日はどうされたんですか?」
ロイズ
「今日は仕事の依頼をしたくてね。
話を聞いてもらえるかな?」
僕
「もちろんお話は伺いますよ。」
ロイズ
「今年の冬は例年より寒くてね。
ジャイアントスノーラビットがかなり南下しているんだよ。」
僕
「ジャイアントスノーラビット?」
ロイズ
「雪国や雪山に出るモンスターだ。
パエルモ周辺だと、冬場にタカート山あたりに出没するんだ。だが今年は例年よりも寒い影響だろうか、山の手前の森まで降りてきているんだ。」
僕
「それを僕が倒すんですか?」
ロイズ
「いやいや、ジャイアントスノーラビットはそれほど強いモンスターではない。
Eランクのパーティーでも十分倒せるんだよ。今回は満腹亭に飲食店としての依頼なんだ。」
僕
「どういうことですか?」
ロイズ
「冬場は冒険者の仕事が少なくなるからね。
せっかくジャイアントスノーラビットが山を降りてきているならと言うことで、DランクとEランクの冒険者を対象に合同でジャイアントスノーラビットの討伐任務を実施するつもりなんだ。
1泊2日の予定だ。
その時の夕食と朝食をアキラ君に用意してもらえないだろうか?」
僕
「なぜ、わざわざ僕なんですか?」
ロイズ
「いくつか理由はある。
まずは、ギルドで一括で食事を用意してしまえば全員の荷物が減らせる。その分、持ち帰られる素材が増える訳だ。
それに冬の森は寒いからね。少しでも温まる食べ物を食べてもらいたいという思いもある。
ただ安全は確保するつもりだが、冬の森は危険がある。冬場はいつもよりモンスターが多い傾向にあるからね。その点、アキラ君なら何の心配もいらない。冒険者の誰よりも強いからね。」
僕
「でも、どうしてわざわざ遠くまで行ってジャイアントスノーラビットを狙うんですか?
手間な気がするんですけど?」
ロイズ
「ジャイアントスノーラビットを倒すと、スノーストーンという魔石が手に入る。
このスノーストーンは魔力を注ぐと冷たくなり、徐々に小さくなってなくなってしまうという変わった性質を持っているんだ。
スノーストーンは夏場に需要があってね。大半は北国から仕入れるんだが、輸送コストの問題で意外と高価になってしまう。
だから効率の良い稼ぎが出来るって訳だ。
それにDランクとEランクの冒険者が街を離れれば、その間、FランクやGランクの冒険者が出来る仕事が増える。
冒険者ギルドとしてはメリットがあるということです。」
僕
「わかりました。
ロイズさんの頼みなら引き受けましょう。
報酬はどうなりますか?」
ロイズ
「基本の依頼料に参加する冒険者の人数に応じて経費を増やす、というかたちでいかがでしょうか?」
僕
「わかりました。よろしくお願いします。」
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