パエルモ伯爵のお呼び出し

ある日、ザバスさんが呼びに来た。


「どうしたんですか?」


ザバス

「伯爵がお会いしたいと仰せです。

今からお時間はございますでしょうか?」


一般市民が領主様に会いたいって言われて拒否は出来ないよね。


「わかりました。

すぐに行きます。」


ということでパエルモ伯爵のお屋敷まで馬車でやって来ました。ザバスさんに案内されるまま、パエルモ伯爵の執務室に到着した。


またパーティーの料理の依頼かな?

でも、なんかいつもとザバスさんの雰囲気が違う気がする。

嫌な予感がするな~。


コンコンコン


ザバス

「アキラ様をお連れ致しました。」


パエルモ

「入ってくれ。」


ザバスさんと一緒に執務室に入る。

そして、勧められた椅子に座る。


パエルモ

「実は、少し厄介なことになってな。」


「すごく嫌な予感がするんですけど、、、

帰ったらダメですよね?」


パエルモ

「帰っても何も解決せん。

諦めて話を聞け。」


「わかりました。」


パエルモ

「単刀直入に言えば、アーサー王子が満腹亭の料理を気に入ってな。お前をスカウトしたいらしい。」


「それって、そんなに厄介な状況なんですか?」


パエルモ

「厄介だ。

相手は王族だぞ。

アキラの満腹亭は私のお気に入りではあるが、私に仕えている訳ではない。私に拒否する権限はない。

アーサー王子に仕えればパエルモを離れることになるぞ。」


なるほど。

事態は理解しました。

相手が王族だからパエルモ伯爵も強く出られなくて、僕のことを守れないってことなんだね。


「どうしたらいいんですか!?」


パエルモ

「普通なら、王子のスカウトだ。

光栄です、と受け入れるのが当たり前だ。

だが、拒否したいんだろ?」


「はい。

せっかくの店を手放したくありません。」


パエルモ

「アーサー王子が新しい店舗を用意してくれると思うが。」


「思い入れがありますから。」


パエルモ

「わかった。

なら、私も力を貸そう。」


「ありがとうございます。」


パエルモ

「アーサー王子からアキラへ招待の連絡が入っている。王宮に行くしかない。

私が同行しよう。」


「ありがとうございます。」


パエルモ

「アキラは第二騎士団のセージ団長とも懇意にしていたな。彼の協力も得たい。

セージ団長に頼めるか?」


「頼んでみます。」


パエルモ

「うむ。

さすがに私とセージ団長に反対されれば、アーサー王子も無理強いはしないだろう。」


「宜しくお願い致します。」


パエルモ

「アーサー王子からの呼び出しは2週間後だ。間に合うか?」


「大丈夫ですよ。

僕なら王都もバレティアも日帰り出来ますから。」


パエルモ

「無茶苦茶な機動力だな。

王都に行く時は私も同乗させてもらえるか?」


「問題ございません。」


パエルモ

「では、アーサー王子の指定日の前日に王都に行こう。」


「わかりました。

宜しくお願い致します。」


なんか面倒なことになっちゃったね。

さすがに、いきなり王都に移れって言われても困っちゃうよ。


とりあえず、家に帰って、みんなに報告した。


ルーシュ

「王子様に気に入られるのは光栄ですが、困りましたね。」


アイラ

「パエルモ伯爵とセージ団長の後ろ楯でどこまで押し通せるかだな。

信じられないぐらい豪華な布陣だが、相手は王族だ。油断は出来ない。」


貴族関係に詳しいアイラさんやルーシュさんが心配してくれている。

なんとか乗りきりたいな。

王族相手に力業は使えないもんね。


「とりあえず明日、バレティアに行ってくるよ。」


セージさんも協力してくれるかな?




そして翌日。

僕はバレティアへ向かった。

幸い、すぐにセージさんのところに通してもらえた。


セージ

「珍しいな。

どうしたんだ?」


僕はパエルモ伯爵から聞いた話を伝えた。


セージ

「なるほど、アーサー王子に気に入られたが、パエルモを離れたくない訳だ。

わかった。

私も同行しよう。

微力ではあるが、口添えをしよう。」


えっ!?

予想以上に協力してくれる感じだ。

どうしよう?

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