因縁の相手

あっ!

建物から人が出てきた。


エリックとカロッサだ。

相変わらずの美男美女コンビだ。

でも、あの善人面をしてない。

本質の悪辣な顔をしている。

もう奴隷の腕輪を着けたのかな?


エリックとカロッサの後ろから女性が歩いてくる。明らかに異世界人だ。

リクルートスーツだもん。

髪型もリクルートっぽい感じ。

黒髪を後ろに束ねている。


僕は地上に降り立つ。


「また奴隷にして売るのかい。」


エリック

「誰だ!?」


カロッサ

「どこから来たんだ!?」


2人が動揺している。


「もう忘れちゃったかな。

それとも売り物にならなかったから、覚える気もなかったのかな?」


エリック

「なるほど。

顔に覚えはないが、捨てた男が復讐に来たのか。」


カロッサ

「オオカミを連れているってことはテイマー系かしら?

バカね。

この人数差がわからないのかしら。」


カロッサの仲間たちが武器に手をかける。


「そこまでだ!」


森から声が聞こえる。

森から出てくる2人組。

男女コンビだ。


エリック

「誰だ!?」


「忘れたとは言わせないぞ!」


「あなたたちのせいで地獄を見たのよ。」


カロッサ

「元奴隷か。

時々いるのよね。

奴隷に逃げられる愚かな持ち主って。

いい迷惑だわ。」


・・・あの男女コンビ、知ってる。

元クラスメートだ。

朝倉さんと柴田くんだ。

クラスでは地味な方だった。

グループには入ってるけど、その他大勢ってポジション。まぁ、僕はグループにすら入れなかったけどね。


柴田

「お前たちの悪事も今日までだ!」


乱戦が始まる。

エリック、カロッサ、一味。

朝倉、柴田組。

僕とガウ。


僕はまずはリクルート女性のところに駆け寄る。


「誰に腕輪をつけられた?」


リクルート女性

「あの人です。」


カロッサを指差す。

でもほとんど動けないみたい。

とりあえず傍らに立つ。

特に参戦せずに見守る。


戦闘は朝倉、柴田組が優勢だった。

レベルが高いんだろうね。

動きが断然速い。


エリック

「クソッ、やはり異世界人。強いぞ。」


カロッサ

「なら、

まひる、

私の盾になりなさい。」


リクルート女性はまひるさんって名前なのか。嫌そうだけど、カロッサの前に動く。


カロッサ

「動かないで!

動いたらこの娘の命は無いわ。」


カロッサがまひるさんを人質にする。

どうなるんだろ。


朝倉

「人質をとるなんて卑怯よ!」


カロッサ

「なんとでも言いなさい。

私たちも負ける訳にはいかないの。」


柴田

「仕方ないか、、、

負けられないのは俺たちも一緒なんだよ。

お前たちを野放しには出来ない。」


まぁ、赤の他人なんてそれほど人質の価値は無いよね。巻き込んだ挙げ句、無視して戦闘が行われる。


さすがに可哀想なので助けよう。

僕は一気に加速し、カロッサ、エリックの順番にメイスで殴り飛ばす。

生死は確認してないけど、普通の人間が僕のメイスをくらって生きている訳がない。


柴田くんと朝倉さんは突然のことに驚き、立ち止まる。


僕はまひるさんの腕輪を外す。


奴隷の腕輪の効果が消えたせいか、まひるさんがペタンと座り込む。


奴隷の腕輪は所有者しか外せない。

元々はカロッサみたいだけど、殺した僕に所有権が移ったんだろう。


柴田

「お前、、、馬場か?」


あ~、やっぱり気付かれたか。


「そうだよ。」


朝倉

「雰囲気が変わってたからわからなかったわ。無事で良かった。」


顔をあんまり覚えてなかった、の間違いじゃないの。


柴田

「俺たち、今、百田先生と一緒に行動してるんだ。」


朝倉

「奴隷にされたみんなを助けながら、元の世界に帰る方法を探しているの。

百田先生は体調が悪くてあっちで休んでるの。一緒に行きましょ。」


柴田

「馬場が無事だったと知ったら先生、喜ぶぞ。」


さてと、どうしようかな。

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