始まりの場所

アドルさんと昔の仲間は楽しそうに話をしている。


おじさん

「今も冒険者を続けているのか?」


アドル

「いや、

今はある商会で護衛の仕事をしている。

冒険者ランクはCランクだが、待遇はBランク扱いだ。」


おじさん

「さすがだな。

昔からパーティー内でもアドルは頭1つ抜きん出ていたからな。」


アドル

「冒険者は時の運だからな。

俺は運が良かった。」


おじさん

「冒険者で成功するには運も実力もいる。

お前には両方あって、俺にはどちらもなかった。」


アドル

「だが、今では持ち家で子どもも3人。

羨ましい限りだよ。」


おじさん

「まぁな。冒険者時代に貯めた金で家と畑を買って良かったと思ってる。

だが、体が鈍ったな。

モンスターに襲われたガキを助けようとしたら、このザマだ。」


アドル

「ふっ、農家のおやじにしては頑張ったんじゃないか。」


そこからおじさん2人で少し昔話をしてた。

楽しそうだったよ。


アドル

「さてと、そろそろ帰るよ。

まだ傷が塞がっただけで体調は万全じゃないからな。

少し休め。」


おじさん

「すまんな。

そうさせてもらうよ。

また、落ち着いたら会おう。」


アドル

「そうだな。またな。」


アドルさんと僕が家の外に出る。


女性

「すいません。

わざわざ来てくださって。

おかげさまで回復出来ました。

本当にありがとうございます。」


アドル

「昔の約束を果たしただけだ。

明日、目を覚ましたらこれを飲ませてやってくれ。」


アドルさんが何かを渡す。


女性

「これは?」


アドル

「体力を回復してくれるスープだ。

落ちた体力を少しは取り戻せるだろう。」


女性

「何から何まで有難うございます。」


アドル

「これは貸しだ。

借りを返したければ、いずれ酒をおごってくれ。」


女性

「わかりました。

しっかりと伝えます。」


アドル

「頼んだぞ。

じゃあ失礼する。」


僕らが離れるまで女性はずっと頭を下げていた。

なんかアドルさんって時々格好いいよね。




農家からある程度離れると、


アドル

「ありがとう。

おかげで信じられないぐらい早くポーションを届けられたよ。」


「おやすいごようですよ。

もう帰るんですか?」


アドル

「ああ、

もう十分だ。

本当に送ってくれるのか?」


「もちろんだよ。

じゃあ、ドラ、よろしくね。」


ドラ

『任せとけ!』


ドラが巨大化し、アドルさんを鷲掴みにする。


アドル

「えっ!?」


「僕無しで背中だと落ちる危険があるんで。

ドラに掴んでもらった方が安全なんですよ。」


アドル

「・・・わかるんだが、うぅ、、、」


まだアドルさんが話している最中にドラが飛び上がった。

そのまま一気に加速していく。



「じゃあ、僕たちも行こうか。」


ガウ

『ああ。』


「ダンジョンに行く前に寄りたいところがあるんだよね~。」


それは僕がこの世界に転移してきた場所。

このハイトンとアルバンの中間ぐらいに位置しているはず。

久しぶりに行こうと思う。

まったく良い思い出は無いけど興味はあるんだ。あの連中はまだいるのかな?

今でも人身売買をやってるのかな。


会ったら自分がどんな反応するのかわからないな。

怒り?

無関心?

どうなるんだろ。


とりあえず、だいたいの場所はわかる。

上空から探せばすぐにわかるはず。

行ってみよう。


うん。

すぐに見つかりました。

森の中に他に建物無いからね。

不自然にポツンと建ってるから、めちゃくちゃ目立ってる。


そのまま近寄ると見覚えのある景色だ。

まぁ、あの時はしっかりと周囲を見る余裕はなかったからね。

パニックだったし、命の危険を感じながら、逃げ出したからね。


さてさて、とりあえず着陸しようかな。

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