至高の一振り

光が収まる。

ガンズさんが刀身を水から引き上げる。


ガンズさんがじっと刀身を見ている。


ガンズ

「出来たぞ。

間違いなく、

わしの人生で最高の仕上がりだ。」


「凄い光でしたね。」


ガンズ

「うまく出来た時には光が出たりはするんだが、あそこまで強烈な光は初めてだ。」


「そうなんですか。」


ガンズ

「この後に仕上げをせんとな。

柄を作ったり、銘を入れたり。

少し待っていてくれ。」


ガンズさんが作業に戻る。

メリルさんが僕のところに来た。


メリル

「素晴らしい一振りになったと思います。

仕上がりを見るのが私も楽しみです。」


「僕も早く完成品を見てみたいです。」


ヒメレス

「世界的な武器職人であるガンズさんとメリルさんの仕事を見られて幸運でした。

仕事のジャンルはまったく違いますが、一人の職人として勉強になりました。」


ヒメレスさんが興奮気味に話している。

木工職人だけど感じるものがあったみたい。

日頃は落ち着いたタイプだから珍しい。


弟子たちも互いに話をしている。

やっぱりガンズさんの仕事を見られたのが嬉しかったらしい。


イリーナ

「後であの剣を見させてください。

絶対に鑑定したらダメな気はしているんだけど、、、」





しばらく待つとガンズさんが剣を持ってきた。


ガンズ

「出来たぞ。

持ってみてくれ。」


剣を受け取り、手に持つ。

しっくり馴染む。

軽く振るう。


いいね。

間違いない。


僕は懐からコインを取り出し、上に投げる。

コインめがけて剣を振るう。

スパッと真っ二つ。


まだだ。

返す刀で斬り上げる。

コインが4つに斬られる。


チャリーン。

斬られたコインが床に落ちた。


「凄い切れ味だね。」


ガンズ

「剣が凄いのか、アキラが凄いのか、、、

切れ味の良さがわからんようになるぞ。」


ざわざわしている。


イリーナ

「私も拝見してよろしいですか?」


イリーナさんは僕に慣れているんだろうね。

特に動揺してない感じ。


剣をイリーナさんに渡す。

イリーナさんが鑑定している。


イリーナ

「凄い・・・。

特殊効果が4つも。

貫通、自動修復、魔力干渉、切れ味強化。

どれも強力な効果です。

元々の攻撃力も凄まじいですね。

あり得ない武器です、、、

絶対に世には出せない武器ですね。」


メリル

「想定通りの効果が付いたようですね。」


ガンズ

「ドラゴンの牙に元々あった貫通。

モンスターの素材から取り出した効果を3つ。

やはりドラゴン系統の牙は武器に向いているな。今までいくつかのドラゴンの牙で作ったことはあるがアキラが用意した物は桁違いの素材だったぞ。」



作ったガンズさんやメリルさん、ミトンさんも満足そうだ。

でもどうしようかな~。

僕、剣士じゃないんだよね~。

基本的にメイスで殴るし。

それにもっと凄いスプーン持ってるし。

使うタイミングないな~。

一点物だから、誰かにあげる訳にもいかないし。


でも、まぁ、いいか。

みんな満足そうだし。


とりあえずガンズさんたちも疲れてるみたいなので休憩タイム。

お菓子とお茶を用意します。


今回はフルーツ大福。

あんことブドウが入ってます。

この世界のブドウは元の世界のブドウよりすっぱい。元の世界のブドウは強烈な甘味があるけど、この世界のブドウはまだまだ甘味が弱くて酸味を感じる。

でもフルーツ大福にすると、その酸味がいい仕事をしてくれる。スッキリして、よりあんこの甘さを感じる。


みんなでフルーツ大福を食べた後、僕は剣をマジックバックに入れて帰宅することにした。

もらった剣を使う予定は無いけど、良い経験になったと思う。やっぱり世界最高峰の職人の仕事は見る価値があるね。

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