ガンズ工房にお願い
翌日、僕とヒメレスさんはガンズ工房に向けて出発した。
ちょっと遠い。
朝に出て夕方近くになった。
ガンズ工房に入ると知らない人が店頭に立っていた。若い男性だ。
僕
「すいませ~ん。
ガンズさん、いらっしゃいますか?」
店員
「お約束ですか?」
僕
「いや、急に来たんだけど、、、」
店員
「申し訳ございません。
事前に約束を取っていただかないと。」
僕
「じゃあ、メリルさんかミトンさんは?」
店員
「ん? ミトンですか?」
僕
「そうです。
何かありました?」
店員
「ミトンに会いに来られるお客さんって珍しいので。ミトンならいますよ。」
僕
「呼んでもらえますか?」
店員
「ちょっと待ってくださいね。
ミトン~、お客さんだぞ~。」
店員さんが少し店の奥に入って大声を出した。
「は~い。」
遠くから声がする。
パタパタと走る音。
そして、
ミトン
「アキラさん!
お久しぶりです。」
僕
「久しぶり。」
ミトン
「親方にご用ですか?」
僕
「そうなんだ。」
ミトン
「では、こちらにどうぞ。」
店員
「いいのか?」
ミトン
「大丈夫です。棟梁や副棟梁ともお知り合いですよ。」
店員
「そうか。
じゃあ、後はよろしくな。」
ミトン
「は~い。」
ミトンさんに連れられてガンズさんの部屋へ。
コンコンコン
ミトン
「ミトンです。アキラさんがいらっしゃいました。」
すると扉の奥から、
「入ってくれ。」
部屋に入るとムワッとした蒸気を感じた。
どうやら、叩いた刀身を水につけ、それを取り出した後みたい。ガンズさんがチェックしている。
ガンズ
「座って少しだけ待っててくれ。」
話ながらも視線は刀身に集中している。
その後、作業をいくつか終わらしてから、こちらにやって来た。
待っている間にミトンさんがメリルさんも連れて来た。
ガンズ
「よく来たな。
今日はどうしたんだ。
仕事の依頼か?」
僕
「そうなんです。
ガンズさんって剣とかの武器以外に、のみとか彫刻刀とか、そういう工具って作れますか?」
ガンズ
「作れるかどうかを聞かれたら作れるな。」
ミトン
「アキラさん。
そういう工具とか農具は鍛冶の駆け出しや仕事がない職人が請ける仕事なんですよ。」
僕
「そうなんですか。
知りませんでした。
じゃあ、ダメですかね?」
ガンズ
「内容次第だな。
どうせアキラが依頼人なんだ。
普通じゃないんだろ。」
僕
「ひどいな~。
僕は普通ですよ。
こちらのヒメレスさんに杵と臼の制作をお願いしたんだけど、僕が用意した木材が硬過ぎて、普通の工具だと、刃が負けてしまうらしいんです。
それで丈夫な工具をガンズさんにお願いしようと思って。」
ガンズ
「その木材と工具って見られるか?」
僕
「大丈夫ですよ。」
僕がマジックバックから木材を出し、ヒメレスさんが工具を出した。
確かにのみの刃が欠けている。
それをじっくり見て、木材も叩いたりしながらチェックしている。
ガンズ
「なんて木材だ、、、
こりゃ、最低でもヒヒイロカネぐらいを用意しないと刃が負けるぞ。」
僕
「でしょ。
だから、今日はオリハルコン用意してるんだ。オリハルコンならどうかな。」
ガンズ
「もちろん問題ない。
むしろヒヒイロカネより強度が高いから、長く使えるだろう。」
僕
「工具作りをお願いしていいですか。」
ガンズ
「そうだな。
原料をそちらで用意してくれるなら引き受けよう。そっちの職人さんも道具の扱いは悪くない。しっかりと手入れされている。」
僕
「やった~。
オリハルコンは十分あると思うよ。」
オリハルコンの塊を机にならべる。
メリル
「あり得ない光景ね。」
ガンズ
「もう少し小さい塊はないか?
工具1つ1つに使うオリハルコンの量は少ない。オリハルコンは硬過ぎて、小分けにするのも大変なんだ。」
僕
「ちょっと待ってね。」
僕はスプーンを取り出し、集中する。
僕
「はっ!」
気合とともにオリハルコンの塊を両断する。
「「「・・・」」」
なんか変な沈黙が流れてる。。。
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