僕に出来ること
事情はなんとなくわかった。
ざっくり言えば、
孤児を助けたい。
でも単純に寄付金を増やすんじゃダメ。
なんか良い循環になるようなシステムを考えろ、というのがパエルモ伯爵の考えらしい。
まぁ、施政者としては難しい問題なんだろうね。
僕
「事情はわかりました。
それでタチアナ様は僕に何をしてほしいんですか?」
タチアナ
「お知恵をお借りしたいのです。
私たちの想像もつかない案を出せるのはアキラ様しかいないと考えました。」
僕
「う~ん。
僕はそんなアイデア豊富なタイプじゃないですよ。ただの定食屋のオーナーですからね。」
タチアナ
「もちろん、
いきなり画期的な案を出せといって、出せるものではないでしょう。
相談相手になって頂きたいのです。」
相談相手か~。
僕
「そう言えば、孤児院を出た子どもって何をしているんですか?」
タチアナ様の顔が少し曇る。
タチアナ
「冒険者か身売りがほとんどです。
まともな生活を送れない者ばかりです。」
僕
「冒険者になって一発当てたりとかは?」
タチアナ
「ゼロではないでしょうが、、、
冒険者になって1年以内に亡くなったり、ケガで引退する者が多いのが実情です。」
現実は厳しいみたいだね。
僕
「じゃあ、孤児院の中にいる時の生活が豊かになるだけじゃダメってことですね。」
タチアナ
「職業訓練をさせてあげたいのですが、
一歩間違えれば子どもが奴隷のように扱われてしまいます。そのリスクも看過出来ません。」
容易に想像出来るね。
僕
「わかりました。
僕に協力出来ることを考えてみます。
次はいつお会い出来ますか?」
タチアナ
「来週、また同じくらいの時間にお伺いしても宜しいかしら?」
僕
「僕はかまいませんよ。」
タチアナ
「では、また来週。
それまでに私なりに考えてみます。」
僕
「僕も考えてみます。」
タチアナ
「宜しくお願いします。」
タチアナ様とザバスさんが帰っていった。
難しい問題だね。
子どもたちがお金を自分たちで稼げると、かなり問題が解決出来るんだけどな~。
僕の得意分野は飲食だからね。
それで何か出来ないかな。
まだまだ幼さの残るタチアナ様が必死に考えているんだから、力にはなってあげたい。
ふふ~ん。
僕には作戦がある。
困った時は頼れる大人に相談する!
これ、間違いない。
今回の問題はガロッソさんとロイズさん。
お金の稼ぎ方とか冒険者になって失敗してるとか、完全にあの2人が専門でしょ。
後で相談してみよう。
頼りになる大人って大事だね。
元の世界だと近くにいた大人って先生か親ぐらいだけど、今考えてみると頼りなかったかな。両親は優しかったけど、何か問題を解決してくれる訳じゃなかった。
先生は、、、
うん、
僕と相性が悪かったのかな。
考えが逸れてしまったけど、ガロッソさんとロイズさんに相談してみる。
もちろん自分でも考えるよ。
それに満腹亭のメンバーにも協力してもらう。満腹亭のみんなは基本的に庶民だ。一般人の感覚に近いと思う。現実的な意見を聞かせてくれるんじゃないかな。
それと並行してヒメレスさんの仕事道具のことも忘れちゃいけないよね。
ヒメレスさんに杵と臼を作ってもらわないと餅つき大会が出来ないからね。
翌日から、コーラル商会や冒険者ギルドを回って話をしていった。
ついでにイリーナさんの許可を得て、ヒメレスさんとガンズさんの工房に行くことになった。
急ぎの仕事もたまたまなかったらしいので、翌日出発することにした。
ガンズ工房があるのはベルン王国のフルト。
フルトはどこのダンジョンからも距離がある。
移動に意外と時間がかかってしまう。
まぁ、気にせず行ってみよう。
ガンズさんに会うのも久しぶりだね。
元気にしているかな。
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