まだまだやることがあります

ウィリアムさん一家とニコラスさん一家、それにケントさんとバーナードさん。

みんなでお昼ごはんを食べた後。


ウィリアム

「それでアキラさんのご用事はなんですか?」


「実はさ、さつまいもを熟成したいんだ。」


ウィリアム

「芋を熟成?」


「さつまいもってさ、収穫後に低い温度のところに保管しておくと甘くなるんだよ。

それを熟成って呼ぶんだよ。」


ウィリアム

「ここで採れたさつまいもはとても甘いですが、もっと甘くなるってことですか?」


「まだわからないけどね。

温度以外にも湿度とかも関係するみたいだから簡単にはいかないかも。

だから収穫したさつまいもの一部で熟成のテストをしてみたいと思ってね。」


ウィリアム

「もちろん協力しますよ。

これより甘いさつまいもなんて想像出来ませんからね。どこに保管するんですか?」


「前に連れて行った実験農場の近くの山にトンネルを掘ろうかと思ってる。

地下なら温度変化も少ないだろうからね。」


ウィリアム

「わかりました。

収穫したさつまいもを用意しておきます。」


これでさつまいもの熟成テストが出来る。

こっちのさつまいもはまだまだ甘さが足りないし、パサつきが気になる。

少しでも蜜芋に近付けたい。

来年の冬には甘~い焼き芋が食べられるかな。




「それともう1つ用事があってさ。

前に冬は農家は暇って聞いたんだけど、そうなの?」


ウィリアム

「そうですね。

冬の間は農作業が出来ないので、内職をしていますね。藁を編んだりするのが定番ですね。」


「織物とか編み物とかは?」


ウィリアム

「う~ん。

あまり聞きませんね。

おそらく毛糸などは高価なので、農家には回ってこないんでしょう。」


「機織機あるんだけど、置いていい?」


ウィリアム

「えっ!?

機織機ですか?」


「糸もこっちで用意するよ。」


ウィリアム

「いや、そういうことではなくて、、、

私も妻も使ったことがないんですよ。」


「そっか~。

じゃあ、今度教えてくれる人を探すよ。

それならどうかな。

ウィリアムさん、シヴァさん、ニコラスさん、シエラさん、に覚えてもらおうかな。

もちろん作ってもらった物には対価は払うから、冬場の収入になると思うよ。」


ウィリアム

「我々としては有難いですけど、どうして私たちに?」


「僕の在庫にさ、世に出せない糸とかが沢山あるんだよね。それをプライベートで着たいんだ。みんなに頼めるとそんなに気を使わなくて済むし。」


前はイリーナさんの旦那さんのお姉さんとかに頼んだんだけど、少し関係性が遠いんだよね。


「今度コーラル商会に機織のやり方教えてくれる先生を紹介してもらうよ。」


ウィリアム

「ありがとうございます。

冬場に安定した収入が得られると助かります。子どもたちも技術を身につけて損はないですからね。」


「じゃあ、色々と準備が済んだら、機織機を設置させてもらうね。」



ハナが戻ってきた。


ハナ

『・・・出来た。』


僕たちが昼ごはんを食べ、話をしている間に畑の予定地を整え終わったみたい。


「農地の整備も出来たみたいだし、見に行きましょうか。」


ケント

「えっ?」


バーナード

「そんなすぐに??」


「ハナが出来たって言ってるから、大丈夫だと思うよ。」


僕たちは連れだって畑を見に行く。

さっきまでは荒れ野だった場所がしっかり畑に出来るように耕されている。


ケント

「凄い、、、

ふかふかになってる。。。」


バーナード

「土の色も周辺と全然違う。」


2人は土をいじりながら、口々に呟いた。


ついでにコハナへの紹介も済ませてしまおう。


「コハナ~、こっちにおいで。」


コハナがてけてけとやってくる。


「ケントさんとバーナードさん。

この畑を世話する人。

よろしくね。」


コハナがペコリと会釈する。

これで準備は万端かな。

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