実験農場始動

あっという間に実験農場に到着。

最初は戸惑っていたミトさんも途中で慣れたみたい。


「到着しましたよ。」


ミト

「ふ~、いつもあんな移動なのかね。」


「快適でしょ。速いし、揺れないし。」


ミト

「まぁ、確かにな。

だが、すべてが想定外で頭がついていかんわい。」


「すぐに慣れますよ。」


そんな会話をしているとモルガンさんがやってきた。


モルガン

「アキラ様、ようこそ。

そちらが南国の作物に詳しい方ですか?」


「ミトさんって言うんだ。

農業の専門家だよ。

ちょっと待ってね。」


僕は空き地でマジックバックから家を取り出す。


「これがミトさんの家ね。」


ミト

「いきなり家が出た!?」


モルガン

「アキラ様はいつもこんな調子です。

すぐに慣れますよ。」


「なんか扱いが雑な気がする。」


モルガン

「まあまあ。」


軽くあしらわれている気がする。


「モルガンさん、後で何人か連れて荷物の整理を手伝ってあげて。」


モルガン

「わかりました。」


「それと、今、少しだけ話す時間ある?」


モルガン

「もちろん大丈夫です。」


「あのさ、ドバン帝国は人間至上主義だって聞いてるんだけど、大丈夫かな?」


モルガン

「う~ん。

おそらく、ここにいる面々は大丈夫だと思います。

人間至上主義が強いのは上流階級や西部の連中です。ここにいるのは東部の庶民ですから、そんなに獣人に対しても差別的な言動はないと思います。

もちろん、予防のために命令しておく方が無難かとは思いますが。」


なるほど。

ドバン帝国と言っても地域や階級によって違うんだね。


「そうなんだ。

良かったよ。ちょっと心配してたんだ。」


ミト

「わしもセントラル大陸には獣人差別をする人間がいるとは聞いていたが、ここは大丈夫そうじゃな。」


「問題があれば、すぐに僕に言ってね。」


モルガン・ミト

「「わかりました。」」


「じゃあ、とりあえずみんなで昼ごはんにしませんか。ごはんを食べてから色々打合せしましょう。」


ということで他のみんなも休憩にしてランチ。今日はハヤシライス。

熱々の鍋と炊きたてごはんをマジックバックから取り出す。

玉ねぎの甘味がグッド。

お肉もたっぷり。

みんなモリモリ食べてくれる。

おかわり自由です。

みんなが美味しそうに食べてくれるのは気持ちいいよね。




モルガン

「ご馳走様でした。

本当に美味しかったです。

いつもありがとうございます。みんな楽しみにしてるんですよ。」


ミト

「これがパエルモの味か。

美味しかったの~。」


「パエルモでも特殊かな。

僕の『満腹亭』の料理です。

他のお店じゃ食べられないですよ。」



お腹も膨らんだところで本題に。

まずはビニールハウスと現在の農場の状況をミトさんに見てもらう。

次にガウル国王に用意してもらった種、苗、苗木をチェック。


そこからどのハウスに何をいつ植えるかなどを話し合う。樹木や多年草は一度植えたら動かさないので、しっかりと場所を決めていく。一年草は植えるタイミングやその組み合わせを決めていく。

それと、もう少しビニールハウスを追加することを決定。またダンジョンに行って素材を確保しないとね。


ミトさん用の品種改良目的のハウスも用意することになった。


ミト

「ここはコハナの影響で植物の成長が異常に良い。上手くやれば収穫量が大きく増える品種が作れるかもしれん。」


ミトさんの品種改良はパウロで行っていたものはハウスで、パエルモに適した作物は露地栽培で行うことになった。

良い品種が出来たら、その種は広めたい。いろんなところで食事が美味しくなるなら歓迎です。


まだまだ試行錯誤は必要だろうけど、ようやくスタートラインには立てた。今後も時々顔を出して様子を見ていくつもりだ。

どんな野菜や果物が収穫出来るか今から楽しみだね。

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