暇なのでダンジョン

ガウル国王との試合に勝ち、熟練の農夫を紹介してもらえることになった。

・・・紹介してもらえるまで10日あるので、暇なんだよね。


と言うことでダンジョンを攻略してしまおうと思います。

今回は時間もゆっくりあるので、毎日満腹亭から通います。

朝食を食べてから、夕食までの間を攻略に充てる。モンスターたちはボゥ以外はダンジョンに来ることに。ボゥは留守番しながらミルクを担当。

僕とドラだけは既に進んでいるけど、せっかくだからみんな一緒に進むことにする。




ダンジョン攻略を開始。

順調。

他に言うことがない。

とりあえず80階まではすべて無視して移動を続けた。

そして、80階でモンスターチームと別れる。

モンスターチームは狩りを楽しみながら移動。僕は最深部目指してビューンビューン飛んでいく。


そのタイミングで満腹亭の定休日になった。

モンスターたちはそのままダンジョンで狩り。

僕とリィズとフィオは厨房見学。

アイラさんとマユラさん、アリエッタさん、ルーシュさんは観光。

ハンドル群島はセントラル大陸からは離れているため、よほどのことがないと一生来ることはない。

それが気軽に週末観光気分で味わえるのでみんなウキウキだ。


マユラさんにコーラル商会のみんなのお土産をお願いした。お土産用にお金を渡したら、「家でも買うつもりなの」と言われてしまった。

どうも最近金銭感覚がズレているらしい。気をつけないとね。



僕たち厨房見学チームは王宮へ。

実は僕たちが厨房見学を希望してテッドさんにお願いしていることがガウル国王の耳に入り、それならと王宮の厨房見学をセッティングしてくれた。

宮廷料理人ということで、もちろんパウロ国内でも有数の腕前だ。


宮廷料理人のおじさんは熱心なリィズとフィオをとても気に入ってくれた。

この年齢でこれほどの料理の腕を持っているのは凄い、とベタ褒め。

これから何回か満腹亭の定休日には顔を出して、おじさんからパウロの料理を教えてもらえることになった。

パウロは肉も魚も野菜も豊富。食にはこだわる文化らしく、調理工程は意外と多い。単純に焼くだけ、という料理はあまりない。一手間加えるのが基本のようだ。

南国特有の気候の為、生はNG。しっかりと火を通さないと危ない。そして暑さで汗もかくし、食欲も落ちやすいので、ハッキリとした味付けが好まれる。繊細な薄味とかではない。


僕も料理は好きだけど、ただの素人。

へぇ~、と感心しながら一緒に眺めていただけ。料理人のおじさんも基本的に僕のことはスルーでした。




そして休日を終えると再びダンジョン。

あっという間に最深部です。

いつも通り、最深部には迷宮はなく、ただボスとの戦いがあるだけ。


『武を究めんとする者よ。

 戦いに全てを捧げる者よ。

 戦いだ。

 鍛えあげた技を見せてみよ。

 さぁ、命をかけた決闘の始まりだ。』


いつもの声が聞こえる。

なんか、僕よりガウル国王の方が、今の呼び掛けに似合ってる気がする。僕は全然戦いに全てを捧げてなんかいないし。

でも問答無用で戦闘が始まるんだよね~。


謎の声に従ってボスが現れる。

大きさは2メートル50センチぐらいかな。

ムキムキのプロレスラーみたいな体型をしている。顔はゴリラに近いけど、フサフサのたてがみに角まである。

巨大な覆面レスラーって感じ?


そんなくだらないことを考えていると覆面レスラーが動き出した。

ムキムキマッチョの割に速い。

ガウより速いかも。


覆面レスラーは素手だ。

その巨大な拳、いや、全身が武器みたいなものなんだろうね。

怒涛の攻撃をしてくるけど、僕に当てるには遅い。

遠距離から魔法でドカンが簡単だけど、それをやると謎の声がへそを曲げそうだしな~。

真面目に殴り合いますか。

僕はメイスを握りしめた。

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