努力の結果

テッド

「すいません。鍛えて頂いたのに。」


「こちらこそすいません。

もっと強く出来たら良かったんだけど。」


ここは王宮の病室。

ガウル国王との試合でボコボコにされたテッドさんが運び込まれた。

医者の治療を受け、夕方には意識を取り戻した。


医者による治療は魔法と回復薬がメイン。

お金をかければ早く治せるけど、普通は最低限の治療しかしない。テッドさんはガウル国王のはからいで骨折などの治療はしてもらっている。王宮で勤務するぐらいだから腕の良い医者なんだろうね。


テッド

「お礼の厨房見学は、退院したら手配致しますね。」


「いいんですか?」


テッド

「私の依頼は強くしてください、

であって、

国王陛下に勝たせてください、

ではありませんから。」


「ありがとうございます。」




病室にガウル国王が現れた。


ガウル

「目を覚ましたようだな。」


テッド

「陛下。

手合せ頂きありがとうございました。」


ガウル

「うむ。

努力は認めよう。

とても強くなっていた。

だが、約束は約束だ。

キララはやれん。」


テッド

「・・・はい。」


ガックリと肩を落とすテッドさん。


ガウル

「だが、努力に免じてチャンスはやろう。」


テッド

「チャンスですか?」


ガウル

「そうだ。

王宮で住み込みで働かせてやろう。

キララとも会う機会は増えるだろう。

その代わり私のトレーニングに付き合え。

その時に模擬戦を行う。

そこで一度でも勝てたら結婚を認めよう。」


テッド

「ありがとうございます!!」


喜ぶテッドさん。

・・・ガウル国王は単純に何度も模擬戦をしたいだけなんじゃないかと考えてしまうのは邪推だろうか。


ガウル

「アキラよ。

たった数日でテッドを別人のように強くした手腕はさすがであった。

どうだ、私と一戦しないか?」


「お断り致します。」


ガウル

「つれない男だな。

まぁいい。

いつでも顔を出してくれ、歓迎するぞ。」


「ありがとうございます。」


ガウル国王の『歓迎』は『戦いをしよう』と同じな気がする。

うん。

顔は出さないでおこう。


ガウル国王が去った後、今後の厨房見学の予定をすり合わせした。

リィズとフィオを連れてくるつもりなので、満腹亭の定休日に合わせるつもりだ。

どうせなら、他のみんなも一緒に来て、パウロの街を満喫するのもありだよね。


パエルモとは全然違うから、観光するだけでも楽しいと思う。



翌日。

野菜や果物の種や苗、苗木を大量に用意してくれた。ガウル国王は公務で会えなかったけど、感謝を伝えてもらう。


さっそくリターンポイントでパエルモに帰る。久しぶりの帰宅にみんな歓迎してくれた。待っていてくれる人たちがいるのは嬉しいね。急な帰宅だけど、ちゃんと僕の夕食もある。

満腹亭は食材が大量にあるし、マジックバックには食事のストックもいっぱいあるからね。


今日の夕食はポークジンジャー。

厚切りの豚肉に生姜を効かせたソースが食欲をそそる。豚肉のジューシーさとソースが相性抜群。ごはん何杯でもいけるやつです。個人的にはしょうが焼きは薄切り肉、ポークジンジャーは厚切りって思ってる。どちらも捨てがたい。


久しぶりのリィズとフィオの料理を楽しみながらハンドル群島の日々を報告。

厨房見学のことを伝えるとリィズとフィオは喜んでくれた。

今度の休日にみんなでパウロに遊びに行くことにした。


みんなからは襲撃があったことを聞いた。

相手は『黄金の杯』。

弱かったのでなんの被害も無いらしい。

被害がなかったのは良かったけど、防犯体制は考えた方がいいかも。

満腹亭のみんなは僕の家族みたいなものだからね。万が一のことがあってからでは遅い。

僕がいない時の防犯体制を見直そう。

多少の襲撃があっても屋内なら安全って感じにしたいな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る