パウロ
サンティを出発して、一路パウロへ。
空の旅はなんのトラブルもない。
時々、逃げ遅れたモンスターを吹き飛ばすことはあるけど、当たったことすら感じない。
特に何事もなくパウロが見えてきた。
パウロは大きな島である。
大きさはサンティよりも大きい。
そしてダンジョンを抱えている。
そのため、ハンドル群島内部でも強い影響力を持っているらしい。
サンティ、パウロともう1つ、ディアゴ。
この3つの島をハンドル群島では三大巨島と呼んでいる。
ディアゴはハンドル群島で最も大きな島で、耕作可能な土地も広く、ハンドル群島の食糧庫とも呼ばれているらしい。
交易の窓口のサンティや、ダンジョンのあるパウロに比べれば地味だが、人口も多く、立地もほぼ中央にあるため、ハンドル群島の代表会議は常にディアゴで行われている。
少し話が脱線したけど、パウロに到着した。
もちろん、空からいきなり人が降りてきたら騒動になるので姿は隠している。
ダンジョンは島のほぼ中央に位置し、街もダンジョンを中心に広がっている。
島には何ヵ所かの港があり、そこからダンジョンで取れた資源を各島に運んでいる。
運ぶ先が近くの島の為、大型船はなく、小型船ばかり。
港も小型船を前提とした形になっている。
セントラル大陸との交易を前提としたサンティは大型船が多かったので、港の雰囲気は全然違う。
まずは島の中心にある国王の屋敷を目指す。
街はサンティよりも獣人の比率が高い。
8割以上は獣人だ。
なので僕は若干ういている。
街の雰囲気はダンジョンのある街特有だ。
ヒルギスやカーメルとも似ている。
冒険者風の獣人が多いし、その冒険者をターゲットにしたお店が並ぶ。
決して上品ではない、でも活気溢れる街だ。
街で一番大きな屋敷の前に立つ。
門番が不審そうにこちらを見る。
僕
「すいません。こちらを王様にお見せしたいのですが。」
サンティのバニル国王からもらった紹介状を差し出す。
不審そうに見ていた門番が紹介状の紋章を見て、急にビシッと敬礼をしてきた。
門番
「すぐに担当官を呼んで参ります。
少々お待ちください。」
すぐに役人風の人が来て、来客用の部屋みたいなところに通された。
役人
「陛下が話をしたいそうです。
準備が整うまでこちらでお待ちください。」
王様と謁見するらしい。
野菜や果物の種や苗を貰いたいだけなんだけどな~。
待っている間、お茶と果物が用意されていた。お茶はチャイに近いかな。香辛料を感じるし、かなり甘い。
果物はデーツに近いかな。こっちも甘くて、ねっとりしている。美味しいけど、チャイに甘さで負けている。栄養素は高そうな感じ。元の世界なら意識高い系の人が喜んで食べるんじゃないかな。
しばらく待つと呼び出された。
謁見の間はイメージ通りだった。
大きな部屋に赤いカーペットが敷かれ、段差の上に王様っぽい人が座っている。
『』パウロの王様はライオンっぽい獣人だ。
大きくて筋肉質な体。
顔も眼光鋭く、立派なひげをたくわえ、たて髪のようになっている。
ライオン国王
「よく来た。
私がパウロの国王、ガウルだ。
バニルとは盟友のような関係だ。
バニルの頼みなら協力せんとならんな。」
僕
「ありがとうございます。」
僕も深々
ガウル
「渡された金額に見合う種や苗を用意するのに何日ぐらい必要だ?」
ガウル国王が役人の1人を見る。
役人
「1週間ほどあればそろいます。」
ガウル
「聞いた通りだ。
用意するのに1週間ほどかかる。
ダンジョンでも探索しながら待っていてくれ。」
僕
「元々ダンジョンにも入ろうと思ってましたので。」
ガウル
「そうか。
それにしてもバニルに『牙の戦士』と認められた実力をこの手で試してみたいな。
どうだ、手合せせんか?」
僕
「え、あ、えっ!?」
王様と手合せなんて困るよ。
勝ったら叱られるとかないよね?
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