サンティ国王
まずは助けた子どもたちを連れて船を降りる。
時間は深夜。
子どもたちを連れて、衛兵の詰所を目指す。
場所は日中に確認してある。
街には衛兵がいる。
そして、夜の見回りや夜勤などをしている。
盗賊もいれば夜行性のモンスターもいる。
昼間に比べれば少ないけど、ゼロってことはない。
子どもたちは拐われてきて、監禁されていたために体力が落ちている。
全員にクッキーとボゥのミルクを配る。
少しは元気が出ると思う。
なんとか子どもたちと詰所に到着した。
衛兵
「どうした!?
何事だ!」
僕
「拐われそうになっていた子どもたちを保護しました。保護をお願いします。」
衛兵
「なんだと!?
状況を詳しく教えてくれ。」
僕
「わかりました。
ただ犯人を気絶させたまま放置しています。
そちらの確保もお願いしたいです。」
衛兵
「そうか。
緊急事態だな。
隊長を呼んできてくれ。」
衛兵
「わかりました。」
若い衛兵が駆けていった。
そこから長い夜が始まった。
急きょ集められた衛兵たちと船と倉庫を回る。
どうやら倉庫には、更に2人来たみたい。
ドラがしっかり無力化してくれていた。
僕らが船と倉庫を回っている間に詰所では子どもたちの身元の確認も行われていた。
朝には街中にこの事件が知れ渡っていた。
ゴロンゴ商会にも捜査が入った。
明らかにやましい物を運ぶために改造された船。そして、その船内に拐われた子どもたち。証拠は十分に揃っている。
あのタヌキ獣人の会長は、「何も知らない。はめられたんだ」と主張したけど、そんな都合のいい主張が通用する訳がない。
それにこの世界はゆっくりじっくり証拠調べをする程、法律に守られていない。
後で聞いた話だけど、あっという間廃業に追い込まれたらしい。
一通り捜査に協力して、色々と話をしていたら、あっという間に昼になっていた。
眠たいし、お腹も空いた。
僕
「は~~~
疲れたな~。
昼ごはん食べたら、出発しようか。
ドラの背中で寝させてよ。」
ドラ
『いいぜ。』
そんな話をしながら、どこで昼ごはんを食べようかとお店を見ていると、
衛兵たちがやって来た。
衛兵
「アキラさんですね。
国王陛下がお会いしたいと仰っています。
ご同行願えますか。」
えっ!?
国王様からお呼び出し。
確実に今回の一件がらみだろうけど。
さすがに国王様の呼び出しを断る勇気はないな~。
僕
「わかりました。ついて行きます。」
衛兵
「有難うございます。」
衛兵たちと一緒に街の中央にある一際大きな建物へ。
中を案内されて、ついて行くと偉そうなうさ耳中年おじさんがいた。
うさ耳おじさんって需要あるのかな?
うさ耳おじさん
「アキラだな。
よく来てくれた。」
僕
「え、あ、はい。」
話に集中しないと。
とりあえず頭を下げる。
うさ耳おじさん
「私がサンティ国王のバニルだ。
この度はそなたの活躍により、子どもたちを救出し、人さらい犯の大規模摘発も出来た。
心より感謝を伝えたい。」
僕
「過分のお言葉です。」
敬語ってこれで合ってる?
バニル
「そう気を使わんでいい。
アキラはサンティの住民ではないし、セントラル大陸に比べれば国王と国民の関係はフラットだ。
気軽に話してもらってかまわんぞ。」
僕
「ありがとうございます。
助かります。」
バニル
「それでだ。
わざわざ来てもらったのは、今回の活躍に対する礼をしたいのだ。
何か欲しい物はあるか?」
僕
「サンティの名産品って何かありますか?」
バニル
「サンティは交易と漁業の街だ。
ハンドル群島の品もセントラル大陸の品もなんでもそろうぞ。」
僕
「野菜や果物の種ってございますか?」
バニル
「種か、、、
あまり無いな。
セントラル大陸は気候が違う。野菜や果物で日持ちのする物はサンティに集まるが、種はセントラル大陸で需要が無いからな。
申し訳ない。
何故、そんな物を望むのか理由を聞かせてくれるか?」
満腹亭のこと、実験農場のこと、などなど、説明出来る範囲で説明した。
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