怪しい倉庫

認識阻害の効果を与えられた倉庫。

怪し過ぎるでしょ。


とりあえず、こっそり中に侵入。

気配を消してるからバレないと思う。

ドラは上空で待機している。


外はパッと見は普通の倉庫。中も普通の倉庫に見える。でも、明らかにおかしい。

奥行きが無さ過ぎる。


しっかり隠しスペースがあった。

隠し部屋と言うには杜撰な感じ。

近くまで行けば、簡単にドアが見える。

入り口付近からは見えないと言うだけだ。


奥に進むと、そこは牢屋だった。

既に何人も閉じ込められている。

獣人の子どもだ。

25人ぐらいだろうか。


見張りも6人いる。

見張りは気を抜いてだらけている。

椅子に座ってテーブルを囲んでいる。

まぁ、牢屋に閉じ込めた子どもを見張るだけなら楽な仕事だからね。

さすがにお酒は飲んでないみたい。


見張り

「いよいよ明後日で終わりだな。」


見張り

「こんな辛気臭い所に籠って、ストレスが溜まったからな。」


見張り

「国に戻ったら金持ちの仲間入りだ。」


見張り

「俺は豪遊するぜ。ガッハッハッハッ。」


見張り

「そのためには明日失敗しないことだな。」


見張り

「大丈夫さ。今までもうまくいった。」


見張り

「ガキどもを受け取って、まとめて船に押し込む。簡単な仕事だ。」


見張り

「モンスター相手に命がけで戦うことを考えたら、楽して儲かる最高の仕事だな。」



う~~~ん。

完全に人さらいだな。

さすがに子どもたちが拐われるのを見過ごすことは出来ない。

でも、今暴れると明日到着する子どもが助けられない。

明日、拐われた子どもたちが到着したら助けよう。犯人たちも可能な限り捕まえたい。どうせ同じ犯罪を繰り返すだろうからね。


スケジュールは、

明日の日中に最後の馬車が到着する。

そして夜中に子どもたちを船に運び入れる。

そして、明後日出発。


たぶん普通の交易船のフリをするんだろうね。この倉庫みたいに偽装しているんだろう。船にいるであろう仲間も捕まえたい。



僕は倉庫を出てドラと合流した。


「人さらいの倉庫だったよ。」


ドラ

『どうするんだ?』


「もちろん、

拐われた子どもたちを助けるよ。

ドラにも協力して欲しいんだ。」


ドラ

『わかった。何をしたらいいんだ。』


「今すぐやることはないよ。

人さらいたちが分散した時は、捕まえるのを手伝って。」


ドラ

『分散する前に全員倒せばいいんじゃないか?』


「人さらいグループの規模がわからないからね。出来る限り捕まえたい。だから、ある程度泳がせるよ。」


ドラ

『ふ~ん。

難しいことはわかんねえから、倒す相手を言ってくれりゃ倒すぜ。』


「十分だよ。

明日にはサンティを出る予定だったけど、延長だね。」


ドラ

『あんなヤツらの相手じゃ、弱過ぎて退屈だけど我慢するよ。』


「ありがと。助かるよ。」



そして翌日。

僕は倉庫の上で見張りをしていた。

もちろん僕自身に認識阻害の魔法をかけて、気配を消しているので簡単には見つからない。


昼前に馬車が到着した。

荷物の運び入れは不自然な緊張感があった。

たぶん人が入れられているだろう大きな箱が運び入れられていく。


そして、人さらいの仲間だろう。

馬車と一緒に来たメンバーも倉庫に入っていく。

馬車には1人だけ残り、倉庫から離れていく。


おそらく倉庫ではすぐに動きは無いだろうから、馬車を追跡する。

馬車はゴロンゴ商会という店に停められた。

もしかしたら、この商会が黒幕?

黒幕じゃなくても誘拐に協力している可能性は高そうだ。


馬車を降りた男に続いて僕も店の中に入っていく。ホント目の前に店員さんたちがいるけど、僕が見えていない。さすがにぶつかると気付かれるので、しっかり避ける。


店の奥にどんどん入っていく時点で協力関係にあるのは間違いなさそうだ。

男を出迎えたのは太ったタヌキのような獣人のおじさんだった。

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