旅に出よう

イリーナさんとヒメレスさんの結婚式を終えて、落ち着いた毎日が戻ってきた。

ヒメレスさんには杵と臼を正式に依頼した。

木材はダンジョンで手にいれた物を提供。

これで年明けに餅つき大会が出来るね。


ヒメレスさんも今は仕事が溜まっているらしいので、少し落ち着いてからやってもらうことになった。



そして、僕は次のダンジョンへの旅を計画している。前回、アカツキ王国のダンジョンで手に入れたダンジョンマップのおかげで、一度行けば、いつでもすぐに行けるようになった。

だから、時間があれば、順番にダンジョンに行こうと思っている。


今狙っているのはハンドル群島のダンジョンだ。狙いは単純。南国の果物や野菜だ。

せっかくビニールハウスを作ったので南国の果物や野菜なんかを栽培したい。

まだ土地はたっぷりある。

種や苗木を手に入れたい。


まずはドラだけを連れて行こうと思う。

なにせ、ダンジョンマップに登録されれば、いつでも行けるし、帰りはリターンポイントですぐに帰られる。



僕はお店のみんなに話をして出発。

今回はダンジョンだけじゃなくて、種や苗、苗木などの確保、その他名産品の購入など、やることが多いので、ちょっと長旅になりそうだと説明しました。

みんなから心配の声は上がったけど、その中身は悪い人に騙されないか、とかだった。普通は山賊やモンスターを心配するんだけど、僕とドラの場合、誰もそこは心配しなかった。


「じゃあ、行ってくるね。」

みんなに見送られながら出発。

ダンジョンマップを使用して、ジプート連邦カーメルのダンジョンに転移した。

なお、僕がいない間のお店の責任者はアイラさんにお願いしている。

年長者だし、しっかり者だから安心だね。




ハンドル群島はセントラル大陸の南方にある島々だ。大小多数の島があるらしい。

そして、だいたい1つの島が1つの国になっているらしい。だから、小さな島だと国王と言いながら、感覚的には村長ってとこもあるらしい。大きな島はリズムリア王国と変わらないような大きさがあるらしい。


ハンドル群島の特徴は獣人が多いこと。

基本的に獣人の国で、人間は少数派になる。

そして人間至上主義のドバン帝国とは対立関係にある。

ハンドル群島とドバン帝国の間にはジプート連邦などの国々があるが、帝国が侵攻してきた際には支援をしたこともあるらしい。


島々が集まるハンドル群島ではメインの移動手段は舟だ。島と島の移動やセントラル大陸への移動など、すべて舟を利用する。

僕は飛ぶけどね。



そして、特に問題もなく、ハンドル群島最初の街、サンティに到着。

大きな港町だ。

港には大きな交易船が並んでいる。

このサンティがセントラル大陸に一番近い大きな港のため、交易の拠点として栄えているらしい。

ハンドル群島に出発する前にイリーナさんに教えてもらいました。


街の雰囲気はベルフォームに近いかな。

大きな違いは2つ。

暑いことと獣人が多いことだ。

ジプート連邦も暑かったけど、ここも暑い。

南国の雰囲気だね。

市場を歩くとココナッツも山積みされていた。質の良さそうなお店でまとめ買い。

お店の人も驚いてた。


感覚的には街を歩く人の半分くらいが獣人かな。ここはセントラル大陸との窓口の街だから、奥地に行けば、もっと獣人が増えるんだと思う。

獣人と言ってもけっこうばらつきがある。

リィズ、フィオ、アリエッタさんたちは普通の女の子にケモ耳と尻尾があるだけ。

でも街中にはもっと獣が強い獣人もいる。ほぼコボルトのような獣人もいた。顔が完全に毛に覆われていたし、手も毛むくじゃらだった。


まずはこのサンティを観光しようかな。

軽く見て回って、ハンドル群島に慣れてからダンジョンに向けて出発しようと思う。

ダンジョンがあるのはパウロという街だ。

このサンティよりも南にある島で、大きさはほどほどだが、ダンジョンがあるので活気はあるらしい。

ダンジョンに行けばいつでもダンジョンマップを使って一瞬で行けるようになるからね。

パウロ周辺はいつでも行けるようになる。

サンティの方が今後来る回数は少ないだろうから、観光はここでするって決めてたんだ。

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