死体の山

イリーナさんとヒメレスさんの挨拶をきっかけに宴会がスタートした。

基本的に庶民の集まりに堅っ苦しい形式は無い。飲んで、食べて、騒ぐ。それだけだ。


コーラル商会のガロッソさんやマヘリアさん、トマーシュさんのいつものメンバーは僕もよく知っているけど、他の従業員さんたちはあまり知らない。

ガロッソさんたちは経営者一族だから高級料理を食べ馴れているけど、他の従業員は一般市民。満腹亭の美味しい料理にそこかしこで驚きの声が上がっていた。


ヒメレスさんの関係者は職人さんがほとんどだ。家族や親族はほとんど何かしらの職人をやっている、職人家系らしい。

他にはヒメレスさんと仕事上の付き合いのある人たち。ヒメレスさんは木工職人だから、材木を扱う関係の商人や、木こりなんかもいるらしい。

・・・もちろん、僕は打ち解けて話すようなことは出来ないから、後で人から聞いただけだけどね。


宴会は大盛り上がり。

僕ら満腹亭チームは裏方として、料理やお酒の補充を行った。

揚げたての方が美味しいし、ぬるくなったビールより、キンキンに冷えている方が美味しい。

マジックバックがあるから、そこから補充するだけだけどね。


途中、イリーナさんとヒメレスさんが僕のところにやって来た。


イリーナ

「アキラ君、

今日はありがとうございます。

みんなにこんなに喜んでもらえたのはアキラ君たちのおかげです。」


ヒメレス

「みんな、こんな美味しい料理とお酒は初めてだって言ってますよ。

私も美味し過ぎて、既に食べ過ぎてます。」


「喜んでもらえて良かったです。

イリーナさんにはお世話になってるからね。少しは恩返ししないと。」


イリーナ

「ありがと。

でも、アキラ君が今までにくれたプレゼントだけでも年収を超えるぐらいの価値があるのよ。どちらかと言うと私たちの方がお礼しないといけないぐらいよ。」


「まぁ、これからも長い付き合いになりそうだし。

よろしくお願いします。」


イリーナ

「こちらこそよろしくね。」


イリーナさんとヒメレスさんは主役だからね。あちらこちらに挨拶して回っていた。



そして、夕方頃に中締め。

帰る人は帰る、飲み続ける人は残るという感じになった。

ここからは僕たちもサービスは基本的にしない。

お酒も料理も出しっぱなし。

好きに楽しんで、というスタンス。

もちろん、お酒の瓶は氷水に浸けてあるので、冷たい状態はキープ出来る。


アイラさん、マユラさん、アリエッタさんの3人は宴会に参戦。一緒に飲んでいた。


僕、リィズ、フィオ、ルーシュさんのチームは店舗部分から離れてリビングでゆったりと過ごした。




翌朝。

地獄の光景が広がってました。

店舗部分に降りてきたら、酔いつぶれて倒れている人がそこかしこ。

・・・マユラさんも転がってました。


リィズ

「ひどい状態ですね、、、」


ルーシュ

「とりあえず全員店の外に放り出しますか?」


フィオ

「このままじゃ、

開店準備が間に合いませんね、、、」


アイラ

「・・・すまない。

私は途中で抜けたんだが、、、

どうやらはめを外し過ぎたらしい。」


アリエッタ

「頭痛い~~~。

完全に飲み過ぎた。」


とりあえずしんどそうにしているアリエッタに治癒魔法をかける。

真っ白になっていた顔が元に戻る。


アリエッタ

「ありがとうございます!

頭痛も吐き気もなくなったわ!

凄い効果!」


とりあえず、

モンスターたちにも手伝ってもらって全員を店の外に出す。

それから、店内を魔法の力できれいにしてしまう。生活魔法というスキルには浄化というものがある。僕とリィズが使用可能だ。


そして、

急ピッチで営業準備を進めていった。

途中、目が覚めた酔っ払いたちがお詫びを言いながら順番に帰っていった。

マユラさんも起きてきて、謝っていた。


マユラ

「ごめんなさい。

飲み過ぎた~~~。

うっ、気持ち悪、、、」


マユラさんは反省の意味で魔法での治療は無しですね。

開店前に風呂に入って、なんとか頑張ってた。かなり息は酒臭かったけどね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る