実験農場

「順番に説明するね。」


モルガン

「よろしくお願いします。」


「ここは実験農場なんだ。

あの白っぽい大きな建物があるでしょ。

あの中で作物を育ててもらいます。」


モルガン

「屋内で育てるんですか?

あまり効率が良いとは思いませんが。」


「いいから、いいから。

とりあえずついて来て。」


みんなを連れてなんちゃってビニールハウスの中に入る。

ビニールハウスの中は外より暑い。

まだ暖房装置は使ってないけど。


モルガン

「明るい、、、

それに温いな。」


「これなら栽培出来そうかな?」


モルガン

「ええ、問題はないと思います。

ですが、わざわざ屋内で育てる意味はあるのですか?」


「中央に小さな池みたいなのがあるでしょ。」


モルガン

「はい。見えます。」


「あれがお湯になる仕掛けがあるんだよ。

それでそのお湯がこの建物の中を巡るんだ。

そうすると建物全体がぬくぬくになるって計画なんだよ。」


モルガン

「建物全体を暖める、、、」


「冬でも暖かければ、季節外れの作物を作ったり、もっと南方じゃないと育たない作物を作ったり、とかが出来るんじゃないかと思ってね。」


モルガン

「なるほど。

実験農場という意味がわかりました。

しかし、お湯を沸かし続けるには経費がかかります。非常に高価な作物になってしまうと思います。」


「多少は高くなっちゃうだろうね。

でもお湯を沸かすのはタダだよ。

これを見て。」


僕はフレイムランスを手に持つ。


「これはフレイムランスっていう武器でね。

使用すると刃の部分が熱々になるんだ。

だから、これを水に入れてかき混ぜると簡単にお湯を作れるんだよ。

凄いでしょ。」


モルガン

「・・・確かに凄いです。

こんな貴重な武器をただの湯沸かしに使うなんて発想、普通は出来ませんよ。」


「便利な武器でしょ。

もちろん失くさないように気をつけてね。」


モルガン

「失くす、失くさない、ではなく、

盗まれないようにすることが大切かと。」


「それも大丈夫だよ。

タロー、コハナ、おいで。」


ゲコの子分とハナの株分。

コハナなんだけど、ハナが進化した時にパワーアップしている。今ならBランク並の戦闘力がある。


「この子たちがここの管理を手伝ってくれるんだ。コハナは作物のお世話がメインで、タローは周辺の警戒してくれる。

タローが周辺のモンスターや不審者を倒してくれるから安全だよ。ついでに、その倒したモンスターの肉はみんなで食べていいからね。」


モルガン

「この2体はどれぐらい強いんですか?」


「Bランク冒険者ぐらいかな~。

そうそう負けないよ。」


モルガン

「なるほど。

ある程度わかりました。」


「じゃあ、生活スペースの説明に移るね。

ついて来て。」


僕たちはハウスを出て、住居の方に移動する。


「えっと、こっちの2つが寝泊りするための建物。割り振りは自由に決めて。

それで、もう1つの建物が食堂兼大浴場。

基本的に毎日農作業を終えたら、お風呂に入ってきれいにして、ここでご飯を食べて、居住棟に戻って寝るって感じかな。」


モルガン

「毎日風呂に入るんですか?」


「そう。

それと肥料に糞尿は使わないよ。

とにかく清潔感を大事にして。

服も多めに用意しているから、着替えと洗濯はマメにね。」


モルガン

「まるで貴族様みたいですね。」


「まぁ、すぐに馴れるよ。」


モルガン

「食糧などはどうなりますか?」


「食堂にマジックバックを置いてあるんだ。

その中に食糧が入ってる。

たぶん10人なら1ヶ月分ぐらいかな。

多少は劣化軽減効果もあるから、うまく使ってね。」


モルガン

「マジックバック!?

そんな貴重な品を置いているんですか!?」


「まぁ、性能は大したことないから。

定期的に補充するし、タローが狩ったモンスターの肉もあるから、食事には困らないと思うよ。」


モルガン

「・・・少し驚き過ぎたかもしれません。」


「まぁ、慌てなくてもいいよ。

ゆっくり馴れていってよ。」


さぁ、実験農場のスタートだ。

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