久しぶりのバレティア

バレティアの近くまで飛んで行きました。

バレティアは外から見てもわかるほどダメージを受けていた。街を囲む外壁を補修する工事が行われていた。


街の中も被害があったようで、そこかしこで工事が行われている。ただ、戦いに勝利したからか、暗い雰囲気はなく、活気に満ちていた。

少し街を見て回ろうかな。


ついでにゲボルグさんのお店に顔を出そう。

ゲボルグさんは、僕のメイスをガンズさんと一緒に作ってくれた武器職人だ。

お世話になったから、もし困っているようなら、少しぐらいはサポートしたい。


ゲボルグさんのお店に向かう途中、意外な人と出会った。


「あれ? アキラ君じゃないか。

久しぶりだね。」


「あっ、お久しぶりです、ディーンさん。」


ディーンさんはDランクの冒険者で、色々と親切に教えてくれた人だ。

元クラスメートの小川さんをパーティーに加えている。

前に会った時はゴーレムに挑戦してCランクを目指すって言ってたはずだけど。まだバレティアから『ゴーレムの庭』に通っているのかな?


ディーン

「珍しいね、こんなところで会うなんて。」


「この前大きな戦いがあったから、知り合いの武器職人さんの無事を確認しようと思って。」


ディーン

「そうか。

少なからず街にも被害は出たからね。」


「ディーンさんはゴーレムの庭に挑戦中ですか?」


ディーン

「残念ながら、挑戦は失敗したんだ。」


「あっ、すいません。」


ディーン

「かまわないよ。

僕らの準備不足だった。

ゴーレムにエリカの従魔を殺されてしまってね。再度従魔の獲得は出来たから、今は依頼をこなしながら従魔を進化させようとしているんだ。」


ディーンさんの後ろで小川さんが嫌そうな顔をしている。でも前回アイラさんに脅されたおかげかな、口は出してこない。


「大変だったんですね。進化したら、またゴーレムの庭に挑戦ですか?」


ディーン

「いや。

ゴーレムの庭にこだわるつもりはないよ。

僕らのパーティーとの相性が悪いからね。

時間はかかるかもしれないけど、ヒルギスのダンジョンでレベル上げをしようと思っているんだ。」


「ダンジョンだと時間がかかるんですか?」


ディーン

「ダンジョンは多様なモンスターが出るし、不意討ちや挟み撃ちのリスクもある。だから、基本は適正レベルより低い階層にしか入らないんだ。

ゴーレムの庭だと自分たちよりレベルの高いモンスターを倒すからレベルが上がりやすいけど、適正レベルより低い階層だとなかなかレベルは上がらないんだ。」


「無理して適正レベルの階層に行くんですか?」


ディーン

「複数パーティーによる共同探索を提案しようと思ってる。」


「それはどういうことですか?」


ディーン

「3つか4つのパーティーで一緒にダンジョンに入るんだよ。

不意討ちや挟み撃ちのリスクは大幅に減らせられるから、レベル上げはやりやすい。

ただ、戦闘回数が減るから収入は減ってしまう。ヒルギスは宿も高いから、下手すると赤字になりかねない、ってリスクはあるけど死ぬよりはマシかなと思ってね。」


冒険者は大変だね。

うちのお店のメンバーは全員レベル60になっている。レベル20を目指して苦戦しているディーンさんたちには絶対言えないね。


「頑張ってくださいね。」


ディーン

「ありがとう。じゃあね。」



ディーンさんたちと別れてゲボルグさんのお店に向かう。


お店は特に損傷は無さそうかな。

中に入ってみると、


ゲボルグ

「いらっしゃいませ。

・・・アキラ君?」


「そうです。

お久しぶりです。」


ゲボルグ

「いや~、

久しぶりだね。

どうしたんだい?」


「ちょっとバレティアに用事があったので。

ゲボルグさんもジェシカさんもご無事でしたか?」


ゲボルグ

「ああ、問題ないよ。

わざわざ顔を出してくれてありがとう。」


元気そうでなによりです。

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