新ギルドマスター
ロイズ
「ご迷惑をおかけしました。」
深々と頭を下げるロイズさん。
オルドさんは満腹亭に来た翌日、裁定を下した。
マックスウェルは有罪。
解雇の上、冒険者資格をはく奪。
不正に得た利益については資産を差し押さえて回収。
マックスウェルに加担していた職員もその度合いに応じて処罰を受けた。
なお、処分は全て冒険者ギルド内部で行われ、対外的には冒険者ギルドの権威を損ねるとして公表はされなかった。
ロイズさんは無罪。
不正を発見し、王都を通報しようとしていたことも功績と見なされた。
マックスウェルの後任としてギルドマスターになることになった。
ロイズ
「どちらかと言えば貧乏くじですよ。
マックスウェルの不正に関わった職員が解雇されたりしたので、危機的な人員不足の状況です。現在、人員補充に動いていますが、落ち着くのにはしばらく時間がかかりそうです。」
僕
「まぁ、出世したから良かったんじゃないですか。」
ロイズ
「仕事が山積みですよ。
監禁されている間の仕事が溜まっている上に、ギルドマスターの仕事まで乗せられましたからね。フフフ。」
ロイズさんが乾いた笑いを漏らす。
ロイズ
「アキラ君には多大な迷惑をかけたからね。
私に出来ることがあったらなんでも言ってくれ。」
僕
「困った時はお願いします。」
ロイズさんがギルドマスターになった後。
パエルモ伯爵に正式にアポイントを入れて訪問。
ガロッソさんに相談してお礼の品を持参しました。
僕
「この度はお力添えを頂き、誠にありがとうございました。」
パエルモ
「うむ。」
僕
「本日はお礼の品を持参致しました。」
執事のザバスさんに渡す。
中身は、ベルフォームで手に入れた真珠をたっぷり。量や質もガロッソさんと相談して決めたから問題ないはず。
それと満腹亭特製の焼き菓子セット。
フィナンシェとパウンドケーキだ。
どっちも美味しいよ。
パエルモ
「これはなかなかに大玉だな。」
ザバス
「最上級の品質かと思われます。」
パエルモ
「アリシアに見せて、アクセサリーを作らせるか。」
アリシアというのはパエルモ伯爵夫人の名前だ。
パエルモ
「アキラよ、また困ったことがあれば相談しに来なさい。」
僕
「ありがとうございます。」
ようやく冒険者ギルドのゴタゴタは終息した。巻き込まれてびっくりしたけど、丸くおさまって良かったと思う。
ガロッソさんたちにパエルモ伯爵、みんな助けてくれた。頼りになる大人が沢山いるのは心強い。
まぁ、パエルモ伯爵は損得勘定ありきで、多少の腹黒さもあるんだろうけどね。
少なくとも今は信用できると思う。
これでようやく実験農場が進められる。
下準備は出来ている。
土地の整備と維持はコハナにお願いしている。放置すればすぐに雑草だらけになってしまうからね。
もちろんウィリアムさんのところにいるコハナとは別の個体だ。ハナの株分は数体いけるらしい。
いつでも種を蒔いたり、植樹したり出来る状態になっている。
後は働く人員の確保だけ。
パエルモ伯爵の言っていた通り、セージさんに相談してみようと思う。
ドバン帝国の進攻にリンとゲコを派遣して、帝国軍を撃退したのは知っているけど、リンとゲコが具体的に何をして、どれぐらいの戦果があったのかは聞いていない。
しかも、サポートするとは伝えたけど、裏からこっそり手伝うように言ったから、セージさんに手伝ったと認識されてなかったらどうしよう。
ちょっと不安になってきた。
まぁ、当たって砕けろだね。
僕とモンスターたちでバレティアを目指す。
今回もボゥはお留守番。
お店を守る、みんなを守るってことを考えるとこの人選になる。
ドラとかだと侵入者がいたら、侵入者を倒そうとして、勢いで店を壊しそうだから。
結界や補助、回復が得意なボゥがいると安心して出かけられるね。
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