王都のギルドマスター
心配して待ってくれている人がこんなにもいる。
嬉しい。
でも、もう心配をかけるようなことはしたくはないな。
僕
「今からガロッソさんたちにもお礼を言ってくるね。」
コーラル商会に行くとガロッソさんが待っていた。
ガロッソ
「解放されたみたいだな。
大丈夫か?」
僕
「ありがとうございます。
パエルモ伯爵が冒険者ギルドに乗り込んで来てくれましたよ。」
ガロッソ
「伯爵も動きが速いな。
すべてが落ち着いたらちゃんと伯爵にお礼をするんだぞ。」
僕
「そうですね。
ちゃんとお礼します。」
ガロッソ
「冒険者ギルドのゴタゴタも1~2週間は落ち着くのにかかるだろうな。
王都のギルドマスター、オルド氏がパエルモに到着して裁定をくだすだろうから、それまではロイズさんも我慢だろうな。」
僕
「そのオルドさんは大丈夫なんですか?
マックスウェルに肩入れしたりしないでしょうね。」
ガロッソ
「わからん。
だが、パエルモ国内の冒険者ギルドのトップだ。最低限の頭はあるだろうから、マックスウェルと共倒れは選ばんだろう。」
僕
「マックスウェルはバカっぽいですもんね。」
ガロッソ
「間違いなくバカだな。」
そんな話をして、コーラル商会を後にした。
その日の深夜。
こっそり冒険者ギルドに潜入。
監禁されているロイズさんを訪問。
牢で1人閉じ込められている。
相棒の鹿は別の牢みたいです。
僕
「ロイズさん、大丈夫ですか?」
僕は小声で声をかけた。
ロイズ
「アキラ君!
大丈夫でしたか?
私のせいで迷惑をかけて申し訳ない。」
僕
「僕はパエルモ伯爵が出してくれたので大丈夫ですよ。」
ロイズ
「良かった。
どうやってここまで?」
僕
「これぐらいの警備なら気配を消せば簡単に入れますよ。今も音漏れしないように結界を張っているんで、安心してください。」
ロイズ
「さすがだね。
君まで巻き込んだのはマックスウェルの大きなミスだね。」
僕
「いったい何が起きてるんですか?」
ロイズ
「マックスウェルが不正を働いたんだよ。
先日のワイバーンの騒動の時、冒険者を集めたけど、すべてアキラ君が倒したから、何もせずに終わったのは知っているよね?」
僕
「はい。聞いてます。」
ロイズ
「あの時、参加してくれた冒険者には報酬が支払われているんだ。
ワイバーンとの戦闘という非常に危険な任務だったため、参加しただけでも通常よりもかなり高額な手当が支払われたんだ。
そして、マックスウェルは参加もしていない冒険者を参加したように見せかけ、その報酬を自分の懐に入れていたんだよ。
それが発覚して、追求するための証拠を集めている時に、マックスウェルが動いた結果が今の状態だよ。」
僕
「むちゃくちゃですね。」
ロイズ
「まぁ、調べていたのがバレた私のミスだよ。王都からオルド氏が来るのを待つしかないね。アキラ君には迷惑をかけたから、解放されたら、穴埋めさせてほしい。」
僕
「気にしなくていいですよ。
あ、そうだ。
これ、サンドイッチとスープです。
あんまりまともな物を食べてないでしょ。」
ロイズ
「満腹亭のサンドイッチとスープか。
嬉しいね。
とても助かるよ。」
僕
「それじゃ、
僕はこのへんで失礼しますね。」
ロイズ
「ありがとう。
最高の差し入れだったよ。」
それから数日後。
閉店後の満腹亭に偉そうなおじさんとその付き人がやって来た。
おじさん
「失礼。
ロイズ氏の冒険者サポーター、アキラ氏はいらっしゃるかな?」
僕
「僕です。」
おじさん
「突然の訪問、失礼する。
私はリズムリア王都の冒険者ギルドの責任者をしているオルドという者だ。
少し話を伺いたいのだが、よろしいかな?」
物腰は丁寧だけど、有無を言わさぬ威圧感はある。50歳ぐらいかな。細身で柔和な表情をしているけど、目の奥は鋭い感じ。
現役の時は相当強かったんじゃないかな。
僕
「大丈夫ですよ。
こちらにどうぞ。」
店内の空いている席をすすめる。
オルドさんが座り、付き人はその後ろに立ったままだ。
どんな話になるのかな。
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