マックスウェルの狙い
マックスウェルが部屋を出ていった。
残ったアルガスは僕の正面に立った。
アルガス
「お前たちは今回のワイバーンの騒動を利用して、不正に報酬を受け取ったな。」
僕
「報酬は受け取りましたが不正はしていません。」
アルガス
「見え透いた嘘を。
たった1人でワイバーンを48体も倒せる訳がないだろう。
おおかた、お前の店で仕入れたワイバーンの死体を使ったんじゃないのか。」
あ~、
ようやく言いたいことがわかった。
彼らの筋書きはこうだ。
僕たちはワイバーン接近の知らせにより、ワイバーン討伐報酬が跳ね上がった。
それを悪用して利益をあげたと言いたいのだろう。
僕
「そもそも、うちはいつも自分たちで狩ったワイバーンを使っています。
つまり、ワイバーンを倒す力を持っているということです。」
アルガス
「ふん、墓穴を掘ったな。
つまり、店にはワイバーンの針が大量にあったということだろ。」
僕
「店にあっても使ってませんよ。」
アルガス
「もう少しマシな嘘をつくんだな。
ロイズの指示なんだろ。」
僕
「会話にならないな。」
アルガス
「会話にならないだと!
こちらのセリフだ。
お前はロイズの指示でワイバーンの針を用意した。
そうだろ!」
僕
「してません。」
話は何度繰り返しても平行線だ。
アルガスは一方的に言いたいことを言って、認めろと言うだけ。
どうあってもロイズさんの指示にしたいらしい。
でも、僕もありもしない不正を認めるつもりはない。
延々と無駄な時間が過ぎる。
・
・
・
アルガス
「強情なヤツだ。
こちらが優しく言っているうちに認めれば良かったものを。
後悔してももう遅いぞ!」
アルガスが警棒のような長さの棒を取り出した。その顔には悪辣な笑みを浮かべている。
アルガスが右手に持ち、左手にペシペシとしている。
ニヤリと笑うと警棒を振り上げる。
ガチャッ
扉が開く。
職員
「アルガスさん!
さすがに負傷させるのはまずいです。
どこにロイズの手の者がいるかわかりませんからね。」
アルガス
「クッ。
まぁいい。
地下牢に放り込んでおけ。」
職員
「はい。承知しました。」
僕は職員に連れられ地下牢に。
職員が小声で話してきた。
職員
「申し訳ございません。
ご迷惑をおかけしています。
ロイズさんが逆転の一手を用意されています。今しばらく耐えてください。」
この職員さんはロイズさんの味方みたい。
僕
「何が起きているんですか?」
職員
「以前からロイズさんとマックスウェルの仲は悪かったんですが、ここにきてマックスウェルが極端な手を打ってきたんです。
でも、大丈夫です。
ロイズさんの指示で王都のギルド支部に秘密裏に人を走らせています。王都のギルドマスターが来れば解決出来るはずです。
マックスウェルの上司にあたりますからね。
こんな横暴は許されません。」
なるほど、王都から上司を呼び寄せてるのか。その人が来たら解決してくれるらしい。
でも、時間がかかるな~。
その間、この地下牢で待たされるのはちょっとキツイ。
でも、僕が暴れて強引に出たら、ロイズさんの立場が悪くなるかもしれないからな~。
とりあえず、数日は我慢してみようかな。
食事はこっそり職員さんが用意してくれました。でもパンとスープだけ。
物足りないな~。
本当はパン1つだったらしい。
スープをこっそり持ち込んでくれたようだ。
有難いけど、まだまだ足りない。
職員さんには文句を言えないけどね。
翌日。
再び地下牢から連れ出される。
連れて行かれた部屋にはアルガスが待っていた。
アルガス
「一晩休んで、頭は冷えたか?」
僕
「もともと冷静ですよ。」
アルガス
「反抗的な態度だな。
フフフ、まぁいい。
時間はたっぷりあるからな。」
アルガスがニヤリと笑う。
やだな~。
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