不正疑惑
バレティアの攻防戦が終わり、パエルモ伯爵からの褒美も決まった。
パエルモ伯爵との会談の後、細かい段取りや取り決めはザバスさんから指示があった。
人手をセージさんからもらう案を教えてもらったけど、戦後処理で大変だろうから、もう少し落ち着いてから相談にいくつもりだ。
そのもらった土地でやるのはハウス栽培だ。
ただ、この世界にはビニールは無い。
モンスターの素材などで比較的似た性質の物を使うつもりだ。
暖房についてもエアコンは無い。
基本的に一般家庭は薪を使った暖炉だ。
しかし、農場の真ん中に暖炉を設置するのは無理がある。
今回の案を閃いたきっかけとなる武器がある。『フレイムランス』。
ダンジョンでモンスターがドロップした槍だ。火属性を持ち、この槍で攻撃すると炎の追加ダメージが入る。
僕の思いつきはこのフレイムランスでお湯を作って、それを循環させることで暖めようと考えている。
実験農場の始動に向けて、いくつかの準備をしている。
まずは大工のゲイツさんにお願いして、簡易なログハウスを作ってもらっている。それも3つも。農場予定地は遠いので街中で作ってもらっている。完成したらマジックバックに入れて運ぶつもりだ。
それと土地の整備。
実験農場の予定地にモンスターたちと一緒に行きました。
立木は伐採して丸太にしておく。
土地は耕して、温水が流れる予定の用水路を整備する。
有り余る力と魔法でガンガン進めていく。
ビニールハウスをビニール以外で作らないといけない。これはモンスターの素材で代用する。
ダンジョンにいた『シースルーバット』。
羽が半透明な素材で出来ているため、薄暗い洞窟とかだと、ほぼ見えない。
そういうモンスターだ。その半透明の羽を使用する。
大きさ1メートルぐらいしかないけど、まとまって出てくるモンスターなので乱獲すればOK。
木材で柱や梁を作り、周囲を羽で埋めていく。しっかり日差しは通すので大丈夫そうだ。素人が作っているから、隙間もあるけど、けっこう良い完成度だと思う。
後は人が決まってからかな。
そんな作業を数日楽しく行った後、満腹亭に招かれざる客がやってきた。
パッと見た感じは冒険者の集団だ。
だが、その真ん中に冒険者っぽくない、事務仕事をやってますという雰囲気の男がいた。
事務員風男
「冒険者サポーターのアキラだな。
一緒に来てもらおう。」
僕
「えっ?
・・・あの、どちら様ですか?」
事務員風男
「私は冒険者ギルドの職員のアルガスだ。
お前にはロイズの不正に加担した容疑がかかっている。冒険者ギルドにて事情聴取を行う。抵抗はするなよ。」
周囲の冒険者がにらんでくる。
お店で止めてよ~。
さすがに無理矢理追い返したらロイズさんの立場を悪くしそうだしな。
僕
「わかりました。ついて行きます。」
アルガス
「モンスターは連れてくるな。
変な気を起こされたら困るからな。」
僕
「わかりました。
じゃあ、みんな待ってて。」
荷物も奪われそうなので、みんなに渡す。
手ぶらでアルガスについて行く。
僕の前後を冒険者が固める。
犯罪者の護送って感じがぷんぷんする。
嫌だな~。
そのまま冒険者ギルドに到着するといつもの応接室ではない、広い部屋に通された。
待っていたのはギルドマスターのマックスウェル。この人、あんまり好きじゃないんだよね。前のフレイムアントの事件の時、対応が酷かったからね。
マックスウェルの横にアルガスが立つ。
マックスウェル
「冒険者サポーターのアキラだな。
正直に話せば罪は軽くしてやる。
さっさとしゃべれ。」
僕
「あの、、、
心当たりが何も無いんですけど、、、」
マックスウェル
「しらばっくれるつもりか。
まぁいい。
アルガス尋問してやれ。
俺はロイズの方に行ってくる。」
アルガス
「承知致しました。」
アルガスがニヤリと悪意に満ちた笑みを浮かべた。
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