バレティアの危機

翌朝。

開店準備をしていると、1人の騎士が駆け込んできた。

嫌な予感しかしないね。


騎士

「アキラ殿、パエルモ伯爵がお呼びです。

帯同願います。」


あ~、命令な訳ね。

従うしかないのか~。

この街の最高権力者だしね。

仕方ない。


「承知しました。

じゃあ、行ってくるからお店は宜しくね。」


アリエッタ

「気をつけてね。」


アイラ

「こちらは任せてくれ。」


騎士に従ってパエルモ伯爵の屋敷に走った。

そして通された部屋には3人。

パエルモ伯爵

執事のザバスさん

さっきとは別の騎士


パエルモ

「すまんな。

急に呼び出してしまって。」


「出来れば急な呼び出しは避けて頂けると、、、」


僕の正直な感想に、騎士がピリッとした視線を投げかける。


「申し訳ございません。

本音が漏れてしまって。」


パエルモ

「うむ、緊急事態のため許してほしい。」


「失礼しました。

それで、どのようなご用件でしょうか?」


パエルモ

「バレティアにドバン帝国の大軍が迫っている。今回のワイバーン騒動はバレティアを孤立させるための策だったようだ。」


「バレティアはそういう事態を見越しての城塞都市ですよね。」


パエルモ

「その通りだが、今回は数が多過ぎる。

ドバン帝国も本気ということだろう。

バレティアの戦力だけでは防ぎきれないだろう。」


ここまで言われればバカでもわかる。

僕に参戦してほしいんだろう。

でも戦争に参加するのはな~。

あんまり気はのらない。

出来るだけ政治的なことには関わりたくないのが本音。

でもバレティアが落ちれば、パエルモも危険になるのはわかっている。


「バレティア防衛に協力しろ、ってことでしょうか?」


パエルモ

「力を貸してもらいたい。

パエルモにワイバーンを襲わせようとした連中だ。パエルモの騎士団をバレティアに派遣できる状態ではない。

警戒体制をとらねばねらんからな。」


「・・・わかりました。

でも表立っては参加しませんよ。

目立って帝国に狙われるのも嫌ですから。」


パエルモ

「裏からサポートということか?」


「隠密行動が得意なモンスターを派遣します。それで十分でしょ。」


パエルモ

「そのモンスターの戦力は?」


「ワイバーンなら100頭が相手でも楽に勝てますよ。」


パエルモ

「凄まじいな、、、

モンスターだけを派遣するなら、セージ伯爵に敵ではないという密書を送っておこうか?」


「じゃあ、モンスターに手紙を持たせておきます。それで大丈夫でしょ。」


パエルモ

「判断は任せよう。

無理を言ってすまない。」


「まぁ、バレティアがドバン帝国に占領されたら、パエルモも危険になりますからね。それぐらいは僕にも理解出来ますよ。」


パエルモ

「昨日話をしていた褒美の件、今回のバレティア防衛への協力も加算してくれ。」


「それが悩ましいんですよね、、、

考えてみます。」



パエルモ伯爵の屋敷を出て、家に戻る。

そして、みんなに状況を説明した。


「バレティアにモンスターを派遣することになったんだ。」


マユラ

「誰を行かせるの?」


「リンとゲコに頼もうと思ってる。

2人なら、こっそり行動するのも得意だからね。」


アイラ

「ドバン帝国がバレティアに大規模進攻を行ったとなると、かなりの戦力を用意しているはずだ。油断は出来ないぞ。」


アイラさんは元帝国軍人。

こういうことには詳しい。


「リンとゲコだけだと危険かな?」


アイラ

「一般兵が何人いても、あの2人には傷1つつけられないだろう。だが、数は侮れないと思うぞ。」


「まぁ、僕への依頼はバレティア防衛への協力だからね。全滅させる必要は無いし。帝国軍の数を減らしたり、士気を下げたりして、バレティアの援護になれば十分でしょ。」


と言うことで、

リンとゲコに状況を説明して出発させる。

ゲコは空を飛べないので、リンがだっこしながら運んでいく。

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