ワイバーン事件

僕は4人組に接近する。


怪しい男A

「そろそろ離脱するか?」


怪しい男B

「いや、もう少し街の近くまで行くぞ。」


怪しい男C

「だ、だが、そろそろ、キツイぜ。」


怪しい男B

「ここではワイバーンが引き返す可能性がある。もう少し先までだ。」


怪しい男D

「街に近付けば、騎士団が騒いでワイバーンを呼び寄せてくれる。

その隙に逃げればいい。」


怪しい男A

「さすがに呑気なパエルモ騎士団も事態の深刻さに気付いているだろう。」


怪しい男B

「パエルモの戦力ではこの数のワイバーンはどうにもなるまい。」


ドサッ

ドサッ

ドサッ


怪しい男D

「なんだ!?」


怪しい男A

「見ろ!

ワイバーンが落とされているぞ!」


ドサッ

ドサッ


怪しい男B

「バカな!?

ワイバーンの群れが相手なんだぞ!

何故あんなに易々と倒せる!」


ドサッ


怪しい男D

「どうする?

逃げるか?」


怪しい男A

「だが任務の途中だぞ。」


ドサッ

ドサッ


怪しい男B

「凄まじいスピードでワイバーンが倒されていく、、、」


ドサッ


怪しい男C

「俺は逃げるぞ!

ワイバーンが殺られた後、

狙われるかもしれない!」


ドサッ


怪しい男B

「待って!

勝手に逃げるな!」


怪しい男C

「だが、

もうどうしようもないのも事実だ。

あのワイバーンたちをパエルモに連れて行くのは不可能になった。」


ドサッ


怪しい男A

「俺たちも逃げよう。」


他の怪しい男たちも頷く。




・・・逃がさないけどね。

さすがに犯人丸出しの連中を逃がす気はない。ただ、今日は顔を隠していないので、見られないようにしたい。


それに事実関係の確認も必要だろう。

捕まえて身柄を騎士団に渡そう。

情報はどうにかして聞き出すと思う。


早速、僕は怪しい男たちに近付く。

気配を消しているので気付かれない。


怪しい男B

「いく、、ぞ、、、」


バタッバタッバタッバタッ


4人が倒れる。

眠らせたんだ。

ついでにマヒにもしておこう。


上空もそろそろ終わりそうだ。

ドサッ、ドサッ、ドサッ


ガウ

『終わったぞ。』


リン

『楽勝だね~。』


ドラ

『暴れ足りないぜ。』


「お疲れさま。

じゃあ、ワイバーンの死体をこのマジックバックに入れてって。」


ワイバーンの死体を集め終わると僕らも帰還する。怪しい男たちは結界に入れて、ドラの背中に乗せた。

街の近くで着陸し、僕らは1人ずつ背負ってパエルモ伯爵の屋敷に向かった。


パエルモ伯爵の屋敷は慌ただしい雰囲気だった。そりゃワイバーンの群れが攻めてくるって知らせが入っているから仕方ないだろうね。


僕らが屋敷に近付くと、門番に呼び止められた。まぁ、眠った人間を担いだ集団は怪し過ぎるよね。これを素通りさせたら門番はクビでいいと思う。


門番

「何をしている。」


「ワイバーンを街に近付けていた実行犯を捕まえました。」


門番

「なっ!?

ちょっと待っていてくれ!」


門番は仲間を屋敷に走らせようとした。


「執事のザバスさんあたりにアキラだと伝えて頂くと話が早いと思います。」


門番

「わかった!」


しばらく待つと、

執事のザバスさんと数名の騎士がやってきた。


ザバス

「話は中で伺います。

こちらへ。」


中に招かれて、通された部屋にはパエルモ伯爵が待っていた。


パエルモ

「アキラよ、久しぶりだな。

今は緊急事態だ。

状況を説明してくれ。」


「わかりました。」


僕は、

冒険者ギルドのサブマスター、ロイズさんの依頼で動いたこと。

ワイバーンを倒したこと。

実行犯の4人を眠らせて連れてきたこと。

順番に説明した。


パエルモ

「では、

ワイバーンの群れはもういないのだな?」


「はい。」


パエルモ

「よし、確認させろ。」


近くの騎士に指示を出す。


パエルモ

「この4人が実行犯か。」


「はい。

今は眠らせてますけど、起きたら逃げようとすると思うので、縛るなり、閉じ込めるなりしてください。」


パエルモ

「わかった。

ヒース、任せるぞ。」


ヒース

「はっ。」


「あっ!

ワイバーンを引き連れてきたぐらいなので、相当強いと思います。ご注意ください。」


ヒース

「忠告感謝する。」


パエルモ

「さてと、アキラよ。

街を守ってくれたこと、感謝する。

ただ、万が一もある。

ワイバーンが倒されたと確認がとれるまでしばらくここで待っていてくれ。」


「わかりました。」


そりゃそうか。

街を預かる身だもんね。

僕の話を鵜呑みには出来ないよね。

ただ、信じる前提で話をしてくれているだけでも、良い方なのかな。


僕らは別室に案内され、お茶とお菓子が出された。ただ、出入り口は騎士が2人立っているので、実質軟禁に近い。


まぁ、いいけど。

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