最高のパジャマ

次の週末。

僕らはイリーナさん、ヒメレスさんと一緒にヒメレスさんのご実家を訪問しました。


母親のサラさん。

姉のナオミさん。


イリーナ

「すいません。おじゃまします。」


「こんにちは。」


サラ

「イリーナから話は聞いているわ。

まずは中に入って。」


リビングに案内される。

さすがに人数が多いので今日はモンスターたちはフリー。僕、リィズ、フィオ、アイラさん、マユラさん、アリエッタさん、ルーシュさんのメンバーで来ている。


サラ

「まずは使いたい糸や布を見せてくれる。」


「これとか、これとか、これとか、、、」


ナオミ

「なにこれ!?」


サラ

「貴族様のドレスよりも圧倒的に上質ね。」


ナオミ

「これで本当にパジャマを作るの?」


「肌触り良いでしょ。

保温性や通気性も良さそうだし。」


イリーナ

「アキラ君はこのような物をダンジョンで大量に手に入れてきます。

もはや貴重品という意識は何もないので諦めてください。」


サラ

「そうなの、、、

まずは常識を捨てましょうか。」


ナオミ

「速く作るなら布から作る方がいいわね。

カットして縫い合わせるだけだから。

ただ切って廃棄になる部分がもったいないんですけど。」


「仕方ないんじゃない?

なんか使い道があるなら自由に使ってもらっていいですよ。」


イリーナ

「止めておいた方が無難です。

見る人が見ればすぐに異常さに気付きますから。」


サラ

「そうね。

私たちの手には余るわ。

イリーナのドレスを作ってからになるけどいいかしら?」


「もちろん。

結婚式は最優先で。」


サラ

「わかったわ。

じゃあ、順番に採寸するから女性はこちらにいらっしゃい。」


ナオミ

「アキラ君はここで終わらせるから、腕を横に上げて。」


ナオミさんが巻き尺でサササッと測っていく。


ナオミ

「パジャマだから、そこまで厳密じゃなくてもいいからね。簡単なものよ。

じゃあ、私もあっちを手伝ってくるから少し待っててね。」



イリーナ

「貴族様のドレスよりも高価なパジャマになりそうね。」


「結婚祝いにイリーナさんにも贈ろうか?」


イリーナ

「遠慮しておきます。

高価過ぎて緊張しちゃうわ。」


「遠慮しなくていいのに~。

そう言えばヒメレスさんは家具職人なんですよね。」


ヒメレス

「ええ。

椅子、机、たんす、なんでも作りますよ。」


「落ち着いてからでいいんだけど、臼と杵を注文してもいいかな。」


ヒメレス

「それぐらいなら簡単に作れます。」


「アカツキ王国でもち米が手に入ったから、餅つき大会でもしようかなって思って。」


イリーナ

「餅つきって何をするの?」


「蒸したもち米を臼に入れて、杵でつくんだよ。そうすると餅が出来るんだ。

独特の食感で美味しいんだよ。」


餅つきのアクションをしながら説明してみた。


イリーナ

「アキラ君の故郷の行事なのね。」


「そうそう。

この前ダンジョンで良さそうな木材を手に入れたから、それで依頼しようと思って。」


ヒメレス

「今度その木材を見せてほしい。

今の用途を聞く限り、強度がある程度必要だし、水でカビたり、腐ったりしやすい木材は適さないだろう。見ないとわからないな。」


さすが職人さん。

仕事の話になると雄弁だ。


「けっこう丈夫そうだったよ。

水のことはわからないから、プロにお任せします。」


ヒメレス

「いつでもいいから持って来てください。」


「ありがとうございます。」



そんな話をしてたら、奥からみんな出てきた。


サラ

「採寸は終わったわ。

イリーナのドレスが仕上がったら、満腹亭に顔を出すわ。

さすがに高級な布を何日も我が家に置いておくのは危険だからね。」


「オーバーだな~。」


イリーナ

「全然オーバーではありません。

このパジャマ1つで町人の1ヶ月の生活費ぐらいにはなります。

それがこれだけの枚数あれば、年収を軽く超えてますからね。」


年収を超えるパジャマ、、、

うちのみんなが固まってます。


「どうせ外に出せない死蔵品なんですから、いくらでも一緒ですよ。」


イリーナ

「アキラ君の総資産は凄まじいことになってそうね。」


僕もうっすら気付いてました。

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