開戦

小高い丘に立つ塔の周囲にいる僕たち。

レッズが見えてきた。

レッズというグループ名の意味がよくわかる。みんな赤い色のなにかを持っているんだ。

だいたいは赤いバンダナ。

他にも赤いマントとか。

とにかく赤いなにかを身につけている。


そんな一団が砦に迫ってくる。

砦側からは矢が飛ぶ。


そんな中、いきなり異変は起きた。


ドォォォォォン!!

轟音とともに塀が吹き飛ぶ。

電車道。

何者かが塀も堀も無視してまっすぐに進んでくる。


ドォォォォォン!

またも塀が吹き飛ぶ。


ヒロユキか!


デジーマの騎士団も黙ってはいない。

ヒロユキ目掛けて矢を雨のように降らせる。

しかし、完全な無視。

矢はヒロユキに刺さることはない。

そして、弓を構えた騎士団のもとに駆け寄り、一掃。

まさに蹂躙。

長い棒を振り回すヒロユキ。

そのスピードは圧倒的。

騎士団は逃げることも出来ない。

剣も盾もヒロユキの前では紙くずの如し。

ヒロユキが長い棒を振り回せば、剣も盾も一撃で砕かれる。


全てを圧倒するヒロユキ。

レッズのメンバーはその後ろを悠然とついて行く。


その不条理なまでの強さを見ても、デジーマの兵は逃げ出さない。

ヒロユキに果敢に攻めかかる。

しかし、決死の特攻も圧倒的な力の差を埋めることは出来ない。


ヒロユキは本丸の塔を目指して進んでくる。


ホンダ

「噂以上の化け物だな。

だが、伝家の宝刀『赤蜻蛉』と我が魂は折ることは出来ん!」


ヒロユキの快進撃を見かねたホンダ公爵が特攻する。

良い剣なんだろうけど無理があるよ。


ヒロユキ

「お前が大将か!」


ホンダ

「いかにも!

逆賊ヒロユキ、覚悟!」


ヒロユキ

「笑わせる!」


ヒロユキの棒がホンダ公爵に迫る。

しかし、ギリギリのところで空を切る。

ガウだ!

ガウがホンダ公爵のベルトを咥えて上空に逃げた。


ヒロユキ

「なんだと!?」


ガウだけではない。

驚くヒロユキ目掛けて闇の塊と水の手裏剣が襲う。

リンとゲコだ。


しかし、ヒロユキは棒で打ち払う。

やる!

だけど!


ヒロユキの足元から数本の蔦が絡みつく。

ヒロユキはバランスを崩しつつも、力任せに蔦を引きちぎる。


ゴォォォォォン!!

光の柱がヒロユキを包む。

ドラの光のブレスだ。


その波状攻撃の間にガウがホンダ公爵をボゥに預ける。ボゥはホンダ公爵を背中に乗せて僕のところにやってくる。


ホンダ

「あれがお主の従魔か。」


「はい。強いって言ったでしょ。」


ヒロユキは光の柱を棒で打ち砕く。

まだまだモンスターたちの連続攻撃は続く。

ガウとリンが氷と闇の広範囲攻撃をしかける。

大地が割れ、ヒロユキを挟み込む。

ハナの魔法だ。


そして、巨大化したドラとゲコ。

巨大なドラゴンとカエルが雷と水の大洪水をまきおこす。

それは後続のレッズを押し流した。


しかし、ヒロユキは健在だった。


ヒロユキ

「世の中は広いな。

まさかこんな強烈なモンスターがいたとは。

さすがデジーマ。

さすがホンダ公爵。

普通の戦力なら勝てただろう。

だが、俺の敵ではない!」


ヒロユキは宣言すると、一気にスピードを上げた。

ドォォォォォン!

ドォォォォォン!

ドラとゲコの巨体が吹き飛ぶ。

接触した塔が崩れる。


ヒロユキは止まらない。

次はハナだ。

ハナは急いで巨大な岩の壁を作り出す。

しかし、ヒロユキはお構い無しに棒を振り抜く。岩の壁もろともハナを吹き飛ばす。


圧倒的な力を示すヒロユキ。

次にガウを見据える。

ガウも負けじと睨みかえす。


ヒロユキ

「その闘志は評価しよう。」

「だが!」


駆けるガウ。

それを追い抜くヒロユキ。

咄嗟に横っ飛びするガウ。

それすらもヒロユキは追いつく。

ヒロユキが棒を振り下ろす。

陰から現れたリンが闇の障壁で受け止める。


いや、

受け止めきれない!

リンとガウをまとめて吹き飛ばす。


モンスターたちは倒れている。

残っているのはボゥだけ。

ボゥは戦闘向きではない。

背中にホンダ公爵を乗せている。

しかし、そのつぶらな瞳はヒロユキを見つめ、視線は外さない。


悠然とボゥに近づくヒロユキ。

ボゥは結界を張った。

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