急報
そんなある日の昼過ぎ。
「アキラいるか!」
お店に大きな声が響いた。
僕
「どうしたんですか、ロックさん。」
ロック
「悪い。
強い回復薬持ってないか。
ミレイが負傷した。」
僕
「一緒に行きます。
お店ですか?」
ロック
「すまん。
ついて来てくれ!」
ロックさんについてコーラル商会に駆けつけた。お店は騒然としていた。
ロック
「アキラを連れてきた!」
バニング
「ミレイが槍で突かれた。
傷口はポーションで塞いだが、容態が悪い。高級ポーションを譲ってもらえないか。」
僕
「必要ありません。
ミレイさんのところに連れて行ってください。」
バニング
「わかった。」
奥の部屋に行くと横たわるミレイさん。
顔色は悪く、脂汗が止まらない。
僕
「傷口を見せてください。」
マヘリアさんがミレイさんの服をめくる。
脇腹に大きな傷跡がある。
血は止まってるけど、内臓を傷めているようだ。
僕
「事象否定」
禁術の回復魔法を発動する。
ミレイさんの体が光に包まれる。
光がおさまった時には傷跡は跡形もなく消えていた。
ミレイさんの顔色も良くなっている。
落ち着いて寝ているようだ。
バニング
「ありがとう。
非常に高位の回復魔法だな。
助かった。これなら後遺症も無さそうだ。」
マヘリア
「後で礼金は支払わせてね。」
僕
「別に礼金はいいですよ。
たいしたことないですから。
それよりもミレイさんがあんな大怪我するなんて、何があったんですか?」
バニング
「野盗に襲われた。
交渉もろくにせずに攻撃をしかけてきた。
その野盗に2人、非常に強い使い手がいた。
その2人の相手を私とミレイが行い、その間にロックとアドルが雑魚を散らした。
そして旗色が悪いとみるとその2人が大技を使ってきた。それをミレイが捌ききれなかったんだ。」
僕
「でも、バニングさんとミレイさん相手に互角以上に戦う野盗ってなんですか。
そんな強い野盗なんて聞いたことないですけど。」
バニング
「私もだ。
だが2人とも左手が無かった。
もしかしたら、逃げた戦闘奴隷かもしれん。だから、まっとうな仕事が出来なかったのかもな。」
マヘリア
「だいたい奴隷の腕輪は左手に着けるの。
時々だけど、左手を切断することで奴隷の腕輪を外す人がいるのよ。
今回は2人組だから、お互いに切ったのかもしれないわね。基本的に奴隷は自傷行為は禁止されているから。」
僕
「この後、その野盗はどうするんですかね?
相当強いから普通の護衛だと簡単に殺られちゃうんじゃないですか。」
バニング
「アドルが街の衛兵に事情を説明している。
おそらく、騎士団が討伐に動くだろう。」
僕
「騎士団って?」
マヘリア
「パエルモ伯爵の私兵よ。
各街を統治されている貴族様は独自の騎士団を持っているの。」
僕
「それって、そんなに強いんですか?」
バニング
「基本的にはレベル20未満が主力だな。
だが、今回は野盗の戦力が事前にわかっている。相応の対策を用意するんじゃないか。
騎士団はこういう事態のプロだからな。」
マヘリア
「人手が足りなきゃ冒険者を雇うし、相手に合わせて人材を揃える場合もあるわね。
まぁ私達が心配することじゃないわ。」
バニング
「だが、野盗の退治が終わるまでは南方への輸送は見送った方がいいな。」
マヘリア
「そうね。とんだ損失だわ。
騎士団が早期解決してくれることを期待するしかないわね。」
う~ん。
騎士団はどうやって解決するんだろう。
このパエルモで最強の冒険者は『翼竜の一刺』になる。
でもバニングさんたちよりも弱いんだよな~。しかもワイバーンに特化しているから、対人戦闘に向いてるとも思えない。
弱い冒険者集めてもあんまり意味がない気がするし。
マヘリアさんたちは心配してないみたいだけど、どうなるんだろう?
とりあえず、わざわざ首を突っ込む話でもないから、静観かな。
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