立食パーティー

僕、リィズ、フィオ、ガウ、ドラ。

このメンバーで移動する。

お店はサンドイッチ営業。

今日は無駄に大荷物を持っている。

マジックバックの存在を隠すためだ。


会場はパエルモ伯爵の庭園。

僕らはその一画を与えられた。

テーブルやお皿なんかは用意してくれている。そりゃ、統一感は必要だもんね。

僕らはそのお皿にどんどん盛り分けるだけ。


リィズがローストドラゴン、

フィオがエビマヨを担当。

僕はお手伝い。

ガウとドラは暇そうにしている。


ローストドラゴンは塊肉を切って盛り付けて、ソースをかける必要がある。このソースかけが僕のお仕事。

うん、雑用です。

料理の説明とかお客さんの相手は執事のザバスさんの部下がやってくれる。


パーティーが始まった。

内容はよくわからないけど、誰かが挨拶をして、そして乾杯をした。

立食タイムスタートだ。


パエルモ伯爵が来た。


パエルモ

「我が街の新進気鋭のお店でね。

今話題になっているだよ。

是非、ご賞味くださいませ。」


パエルモ伯爵がそう言うと来場客が一気に料理に手をつけた。


「凄い肉汁だ。これはなんの肉ですかな?」

「アースドラゴン!

わざわざ取り寄せたのか!」

「こっちの魚介も素晴らしい鮮度だ!」

「さすがパエルモ伯爵!」


好評みたいで良かった。

まぁ、こういうパーティーの場なので、どこまでが本心かはわからないけどね。


それでも何度もおかわりをする来場客が何人もいたから、好評なのは間違いないでしょ。


途中で料理が失くならないように多めに用意しておいて良かったよ。




ガウ

『あの男、変な臭いがしたぞ。』


「変な臭い?」


ガウの指し示したウェイターを見る。


ガウ

『そうだ。ここは香水をつけた人間が多いから、詳細はわからんが、、、』


貴族のパーティー

怪しいウェイター

これはどう考えても毒殺のフラグでしょ。

でも証拠も無い状態で騒ぎも起こせない。


僕はウェイターの後を追いかける。

そして気絶させる。

トレーは大切な証拠だからね。

しっかり左手で持つ。

右肩を貸すようにして、僕らのエリアの後ろに運び入れる。

トレーのドリンクを『知りたがりの虫眼鏡』で鑑定。即効性の致死毒がしっかり入ってました。

ここはガウとドラに任せてザバスさんを呼びに行く。


「ザバスさん、

すいません、来てください!」


ザバス

「どうされたんですか?」


「ウェイターが毒入りの飲み物を持っていました。僕の従魔が気付いたので、気絶させて拘束しています。」


ザバス

「なっ!?

わかりました。ドーリ、ついて来なさい。」


ザバスさんともう1人の男性が来て、更に騎士団の人を呼んで、気絶させたウェイターを運び出した。


少し落ち着いてから、


ザバス

「パーティー終了後少し残ってください。話がございます。」


なお、パーティーそのものは何事もなかったかのように滞りなく進んでいった。


そしてパーティー終了後、僕はパエルモ伯爵の執務室に呼ばれた。


パエルモ

「今回の1件、まずは感謝を伝えたい。

ありがとう。

もし毒殺を成功させられていたら当家の面目は丸潰れだった。

いや、ウェイターのフリをしてターゲットの近くまで行かれただけでも当家の落ち度となる。それを秘密裏におさめてくれたおぬしの機転には感心している。

それと、もちろんだが、このことは他言無用だぞ。」


「わかりました。」


他言無用、これが本命だよね。


パエルモ

「本題の料理も好評だった。

私も食べたが、あれは素晴らしかった。

当初予定の倍の報酬を出そう。」


「ありがとうございます。」


・・・完全に口止め料だよね。


パエルモ

「それと我が家の紋章を店に掲げることを許可しよう。」


「ありがとうございます。」


紋章を掲げる許可って何?って思ったけど、それをこの場で言ったらまずいのは理解出来ますよ。


パエルモ

「良い働きだった。

では、もうよいぞ。」


「ありがとうございます。失礼致します。」


ようやく長かった立食パーティーが終了しました。

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