マユラ無双

僕らは9名の大所帯で飲み屋さんに入った。

ゲイツさんたち大工さん6名に僕、アイラさん、マユラさん。


彼らのよく行く飲み屋らしい。

2テーブルに別れて座る。

ビールっぽいお酒が配られる。


ゲイツ

「じゃあ、アキラさん、

一言お願いします。」


「え、僕、あ、え、その、、、

今日は、、ありがとうございました。

あの~、、、」


僕がうまくしゃべれないでいると、


マユラ

「今日はアキラくんのおごりで~す!

みんなありがとう!

お店の酒を空にするまで飲むぞー!!」


大工一同

「「「おぉー!!」」」


マユラさん、ありがとう。

僕に乾杯の挨拶は荷が重いよ。


マユラさんもアイラさんも男社会で生きてきた人だ。

アイラさんは軽く受け流す。

マユラさんは一緒に盛り上がる。

そんな感じ。


僕は端っこでジュースを飲んでいる。

味は・・・微妙かな。

前にロイズさんやディオンさんと行ったお店の方が美味しかった。値段もここより格段に高かったけど。


まぁ、ロイズさんやディオンさんは一般人の中では金持ちの部類だ。なにせBランク冒険者はみんなの憧れの存在だからね。

収入もかなり良い。


ガロッソさんもお金持ち。

何人も人を雇っている商会の代表だもんね。

そう考えると僕のまわりはお金持ちが多いと思う。この世界も貧富の差は激しいから、生活レベルが違い過ぎると話も合わない。

身分の差を超えた恋愛、というのも現実にはあまり起きない気がする。


このお店の料理はお酒のおつまみとしては許せるかな、というレベル。

お酒を飲まずに料理を食べる僕からするとちょっとね。


大工

「ねぇーさん、いい飲みっぷりだな。」


マユラ

「まだまだ序の口よ。」


大工

「いいね~」


マユラさんは男たちと笑いながら飲みあっている。僕には無理だな~。


僕はアイラさんに、

「そろそろ失礼させてもらうよ。」


アイラ

「そうだな。

ただ酒だと思って、みんなペースが速い。

みんなが酔い潰れていく前に避難するのが正解だな。」


「とりあえず、お金はアイラさんに預けておきますね。足りなかったら言ってください。」


アイラ

「わかった。

先に帰ってくれ。」


「ありがとう。じゃあね。」


僕はゲイツさんのところに寄り、

「今日はありがとうございました。

先に失礼しますね。」


ゲイツ

「こちらこそ、みんな加減知らずで飲んでますけど大丈夫ですか?」


「まったく問題無いですよ。

これぐらいなら。

支払いはアイラに任せてますので。

では、失礼します。」


ゲイツ

「おやすみなさい。」




飲み屋街を離れ、

1人家に向かって歩いていると、、、

(尾行されてるな。)


僕は気配探知などのスキルがある。

こそこそ後ろをついて来ているのは丸わかりだ。

だが、どうしよう?

尾行をまく?

それだと尾行に気付いてることがバレるよね。

尾行に気付いていないふりをして、そのまま家に帰るか。

その後、逆に尾行しよう。

相手が何者かを調べないと。


僕が自宅に入ると、しばらくして、相手も動きだした。

僕は気配隠ぺい系のスキルも持っている。

こっそり尾行するぐらい簡単だ。

もちろん顔を隠しているよ。


簡単に相手の家は特定出来た。


どうする?

相手の身元と目的を特定したい。

仕方ない。


相手がドアを開けて家に入ろうとした瞬間に気絶させた。

倒れないように抱えながら家に入った。

部屋の中は普通の独身冒険者って感じ。

よく整理されている。


状態異常の『魅了』にする。

そして、『気絶』を回復させる。


「名前は?」


「スタイナー。」


「誰の指示で尾行をしていたんだ?」


スタイナー

「任務だ。」


任務?

どういうこと?


「どういう任務なの?」


スタイナー

「ドバン帝国のスパイの探索と異世界人の発見です。」


それで僕のことを尾行したのか。


「君の所属は?」


スタイナー

「リズムリア王国第2騎士団です。」


騎士でした。

しかも異世界人の探索は仕事ってことだし。

どうしようかな?

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