株分け

種まきを終えたところで、みんなにとあるモンスターを紹介した。


「この子はコハナって言うんだ。

ハナの『株分け』ってスキルで生まれたんだ。この畑の護衛兼サポートって感じかな。よろしくね。」



ステータスはこんな感じ。

『コハナ

 ジュエルアルラウネの分体


 HP  11/11

 MP  18/18

 力 6

 丈夫さ 13

 魔力 20

 魔法抵抗力 16

 素早さ 10

 器用さ 14


 スキル

 操草 レベル2

 巻きつき レベル1

 地魔法 レベル1

 豊穣 レベル1』


見た目はハナを3頭身にして顔もデフォルメして簡単にした感じ。


魔力はほどほどあるし、地魔法もあるから、そこら辺の野生モンスターには負けないだろう。それに豊穣ってスキルがあるのも期待大。


ウィリアム

「私たちはどう接すればいいんですか?」


ハナ

『特に気にしなくていいよ~。

勝手に作物の世話をしながら、勝手にモンスター倒して魔石を補充するから。』


「冒険者に倒されないようにだけ気をつけてもらえると有難いかな。」


ウィリアム

「わかりました。」


「じゃあ、僕たちは街に帰りますね。」


僕のリターンホームのスキルで帰還。


まだ夕方なので、大工のゲイツさんの家を訪問してみる。


ゲイツ

「おや、アキラさん。

どうしたんですか?」


「実は、、、」


簡単に事情を説明した。


ゲイツ

「なるほど、、、

農村の家ですか。

木材が集まれば、ほぼ完成ですよ。

農家は壊されることも多いので、作りも簡単なんですよ。」


「そんなに簡単なんですか?」


ゲイツ

「柱を建てて、柱と柱の間を土壁で埋めて、天井を張れば完成です。

もし良ければ今度の週末に手の空いている若い衆を連れて手伝いに行きましょうか?」


「そんな、、悪いですよ。」


ゲイツ

「夜にうまい酒でも飲ませてやってください。それで十分ですよ。」


「ありがとうございます。

それじゃあ、明日作業されている現場を教えてください。

ランチを差し入れしますよ。」


ゲイツ

「そりゃ、有難い。

人気の『満腹亭』のランチを食べられるなんて、嬉しいですよ。」


そして、週末。

僕はボゥのリヤカーにゲイツさん含め、大工さんたち6名を乗せて、ウィリアムさんたちのところへ連れていった。リィズ、フィオ、アイラさん、マユラさんも来てくれた。


ウィリアム

「アキラさん、

そちらの方々は?」


「こっちは僕の仲間。

それで、こちらはプロの大工さん。

みんなの家作りを手伝ってくれるんだ。」


ニコラス

「本当ですか!

そりゃ、助かります。」


ウィリアム

「本当にありがとうございます!」


ゲイツ

「家2件ですね。

ある程度のめどがたてられるようにしますよ。」



そこからはゲイツさんの指示に従い、みんなで手伝った。

荷物運びはモンスターたちが活躍してくれたし、ノコギリが切ろうとしていた木材を全て剣で斬ったら、大工さんたちにドン引きされた。


ゲイツ

「モンスターだけじゃなく、アキラさんも強かったんですね。

驚きましたよ。」


「ゴーレムを斬るのに比べれば木材は柔らかいよ。」


ゲイツ

「それじゃあ、

あそこにある木材も全てこの形に切れますか?」


「大丈夫ですよ。」


ゲイツ

「幅は木によって違って構いません。

長さを揃えて、両側はきれいに整えてください。」


大根を短冊切りするぐらいの感覚で、木の板を量産していく。


褒められて調子にのって斬りまくり。

あっという間に床板が完成した。


アイラさんやマユラさんもレベルが高いから、一般人とは力が全然違う。

高いところの作業はリンやドラがいるし、力作業はガウやボゥが引き受けた。

さらにハナは縄に蔦を絡ませて自由自在に操る芸当を見せた。


昼ごはんは丸太に板を置いた簡易テーブルでリィズとフィオが用意してくれた『満腹亭』のC定食をみんなで食べた。

「うまい!」「うまい!」って評判。

やっぱり、みんなに喜んで食べてもらえると嬉しいね。


夕方頃には概ね完成した。


ウィリアム

「素晴らしい家です!

モンスターに焼かれる前よりも立派ですよ!」


ニコラス

「まさか、こんなに早くテント生活を終われるとは思っていませんでした!」


みんな喜んでくれて良かったよ。

子どもたちも新しい家に喜んでいた。

テントは来週末にボゥとリヤカーを来させるので、その時に積んで帰ることにした。


僕らは農村を出発。

僕、ゲイツさんと大工さん、アイラさん、マユラさんは飲み屋さんに直行。

リィズとフィオとモンスターたちは家に帰った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る