評価

僕らが冒険者ギルドに入ると、すぐに職員がやって来た。


職員

「ディオンさん、任務達成、お疲れ様でした。」


ディオン

「ありがとう。

任務達成の報告を済ませたいんだが。」


職員

「ギルドマスターから、ディオンさんがいらっしゃったらマスターの部屋にお連れするように言われております。」


ディオン

「わかった。」


職員

「そちらの少年は?」


ディオン

「今回の一件の関係者だ。

一緒に連れて行く。

ロイズさんも知っている。」


職員

「承知しました。

こちらへどうぞ。」


職員に連れられてギルドマスターの部屋に向かうと中から言い争う声が、

ロイズ

「どうして私の報告書が改竄されているんですか!」


マックスウェル

「人聞きの悪い言い方をするな!」



職員がドアをノックする。


職員

「失礼します。

ディオン様をお連れしました。」


マックスウェル

「わかった。入ってくれ。」



部家に入ると、マックスウェルさんとロイズさんがいた。


ディオン

「失礼する。

任務達成の報告を終わらせたいんだが?」


マックスウェル

「おう、ご苦労だったな。

ロイズから報告は受けている。」


ディオン

「部屋の外で聞き捨てならない話が聞こえましたが。」


マックスウェル

「心配ない。

ロイズが騒いでいるだけだ。

ディオンたちの功績はしっかりと評価している。」


ロイズ

「翼竜の一刺はB評価での任務達成。

黄金の杯はA評価での任務達成。

それがギルドマスターの言う『しっかりとした評価』ですか。」


マックスウェル

「そうだ。

B評価は通常の高評価になる。

そうだろ?」



冒険者の任務達成にはランクがある。

確か、A~Fまでだ。

Aが最高評価、Fは失敗扱い。

但し、A評価は追加報酬を依頼者が支払う必要があるため、滅多につかない。

通常はB評価で十分な高評価になる。

逆にF評価は失敗でペナルティ。

E評価も報酬の減額がある。



ディオン

「まぁ、我々がB評価なのは理解出来ますがね。しかし、あのバカどもがA評価というのは理解出来ませんよ。」


マックスウェル

「Dランク冒険者がCランク相当の任務を達成したんだ。少しぐらい高く評価してやってもいいだろう。若い芽を摘んではいかん。」


ロイズ

「私は翼竜の一刺をA評価、黄金の杯をE評価で報告書を提出しました。

AをBに下げ、EをAに変える。

これが『少しぐらい』ですか!」


マックスウェル

「ロイズ!

これ以上騒ぐな!

もう、この話は終わりだ!

ディオン、窓口で報酬を受け取ってくれ。」


ディオン

「承知しました。

それとギルドマスター。

あまり甘やかし過ぎると早死にしますよ。

時には未熟さを痛感して、腰を据えて訓練する時間も必要ですよ。」


マックスウェル

「そうだな。

頭に置いておこう。」



ギルドマスターの部屋を出た。

ロイズさんも一緒だ。


ロイズ

「申し訳ございません。

私の力が及ばず、、、」


ディオン

「気にしないでくださいよ。

人間の相手をする方がモンスターと戦うより苦労するな。

今日の夜、空いてるか?

飲みに行こう。」


ロイズ

「ありがとうございます。

早めに仕事を終わらせますよ。」


ディオン

「アキラ君もどうだ?」


「お酒は飲めないんですけど、

ご一緒させてください。」


ディオン

「よし、

それじゃ今日の夜、

『ホワイトムーン』で飲もう。

俺たちは先に入っているから、仕事が終わったら来てくれ。」


ロイズ

「ありがとうございます。

それとアキラ君への報酬も用意してあるから、この書類を窓口に提出してください。

アキラ君は冒険者サポーターなので評価の対象外です。評価対象は私になりますからね。

当初の契約通り支払われます。

ご安心ください。」


窓口に行って書類を提出すると、

けっこうな額が貰えた。

今回は僕とモンスターをBランク冒険者相当の金額で雇うことになっていた。

合計6人のBランク冒険者を危険な任務で1日拘束した場合はこうなるらしい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る