ベテランの味

『ギィャワッ』

ゲイルに噛みついていたフレイムアントに矢が刺さる。

そして、ロイズさんの鹿がフレイムアントを2匹まとめて突き飛ばす。


ロイズ

「下がって体制を立て直しなさい。」


鹿が前面に出て、ロイズさんが弓で援護する戦闘スタイル。

鹿と接触する直前に矢がフレイムアントを襲う。そして体勢を崩したところを鹿が大きな角で体当たりする。


黄金の杯の3人よりも安定感がある。


ロイズ

「アキラ君、すまないが私だけでは手数が足りない。サポートをお願いしたい。」


確かにロイズさんと鹿の連携は強い。

しかし、フレイムアントが3匹以上になると対応が厳しい。そもそも鹿のモンスターは盾役が得意な訳じゃないからね。本来の特色は機動力。それが巣の中では使えない。


苦手な地形でも最大限の仕事をする。

そして、実力を見誤らず、助けを求める。

これが元Bランクの冒険者の力なんだろうね。

ガウを派遣して後方の守りを担当してもらう。


黄金の杯はただのお荷物に。

ロイズさんが持っていた魔道カンテラをコリンズに持たせる。

でも下手。

思いやりが無い。

ロイズさんは頭より高い位置に持ち、ディオンさんたちが戦いやすいように照らしていた。

でもコリンズは自分の胸の位置でテキトーに持つから、ディオンさんたちの影でフレイムアントたちが見えにくい。



なんやかんやありつつ、どんどん進んでいった。そして、

ディオン

「もう少しでフレイムアントクイーンだ。

長丁場になる。

最後の休息をとるぞ。」


そして、フレイムアントの巣の最深部に到達した。

フレイムアントクイーンは大きい。バスぐらいの大きさかな。

そして、クイーンのいる部屋は広い。

サッカーコートぐらいはある。


ディオンさんたちはクイーンの部屋には入らない。入口付近でフレイムアントたちを呼び寄せる。挑発に大きな音を鳴らしたり、弓矢を放ったり。

そして入口付近に寄ってきたフレイムアントを今まで通り倒していく。


部屋の中では四方八方から襲われてしまう。

それを避けるための戦法だ。

時間はかかるけどリスクが一番低い。


我慢。

忍耐。


クイーンの部屋には上位種もいた。

ラージフレイムアント。

特技は燃える頭で体当たり。

大きな体を活かした体当たりは威力も高い。

でもディオンさんたちはラージフレイムアントが体当たりの体勢になると、2人で受け止めるようにポジションを調整する。

2人で受け止め、残りの1人が攻撃を行う。

さすがです。



徐々にフレイムアントの数が減っていく。

でもディオンさんたちは焦らない。


しかし、

功を焦るバカがいた。


ゲイル

「チャンスだ!

クイーンまでの道が拓けたぞ!」


ウィッツ

「クイーンは動かん!

簡単に斬れる!」


コリンズ

「任務達成ですね!」


3人がディオンさんたちをすり抜け、飛び出した。フレイムアントクイーンを目掛けて駆ける。


しかし!

ラージフレイムアントがまだ2体潜んでいた。

ラージフレイムアントが炎の体当たり。

先頭を走るゲイルにヒット。

ゲイルはおもいっきり吹っ飛ばされる。

巻き込まれてコリンズが転倒。

1人残されたウィッツが立ち尽くす。


そんな無防備なウィッツを見逃してはくれない。もう1体のラージフレイムアントが炎の体当たり。

咄嗟にウィッツは剣を盾代わりにしようとするが、その場しのぎは通用しない。

体当たりを防ぐことは出来ず、剣を落とした挙げ句、吹き飛ばされる。


吹き飛ばされたゲイルとウィッツ。

しかし、本当にピンチなのは転んだ上に取り残されたコリンズ。

転んだコリンズの足首にフレイムアントが噛みつく。足首を引っ張られて起き上がれない。

そこにもう1匹。

更にもう1匹。

腕と首に噛みつかれる。

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