フレイムアントの巣

戦いは朝早くから始まった。


けど、僕たちの出番はまだ先だ。

Dランクの冒険者たちが巣の外に出ているフレイムアントを倒していく。


ある程度、数を減らして、Dランクの冒険者たちが巣の出入口を囲んでから、僕たちは突撃することになっている。

僕たちが突入したことで、一気にフレイムアントが巣から溢れ出すことがあるらしい。



僕たちは突入に向けて体力を温存している。

ディオンさんたちのうち、3人が同じ眼鏡をかけていた。

なんだろう?


ロイズ

「『暗心メガネ』というアクセサリーです。装備すると『夜目』のスキルがつきます。

暗闇の巣の中に突入するのには最適な装備です。それを3つも用意されているのは流石です。」


ロイズさんが解説してくれた。


ディオン

「冒険者ギルドの方で魔道カンテラを用意して頂く予定だったが大丈夫ですか?」


ロイズ

「2つ用意しました。

全方位を照らすタイプと一方向を照らすタイプです。」


ディオン

「2つも用意してくれたのか。

ありがとう。」



そんな僕たちのところにマックスウェルさんがやって来た。


マックスウェル

「そろそろ突入してもらうぞ。」


ディオン

「わかりました。

出入口の防衛をお願いします。」


マックスウェル

「当然だ。安心してフレイムアントクイーンを倒してきてくれ。」


「マスター!

俺たちも突入メンバーに加えてください!」


ん?


前に僕に絡んできた冒険者たちだ。


マックスウェル

「ゲイルか、どうしたんだ?」


ゲイル

「突入メンバーが足りないと聞いてね。

俺たちが手伝いますよ。」


ロイズ

「確かDランク『黄金の杯』でしたよね。

Dランクパーティーは巣の外で備えることになっています。」


ウィッツ

「俺たちが話しているのはマックスウェル様だぜ。出しゃばるなよな。」


ゲイル

「俺たちはまだDランクだけど、実力的にはCランクに匹敵するはずだ。」


マックスウェル

「確かにお前たちなら実力は十分だな。

わかった。

翼竜の一刺をサポートしてくれ。」


ディオン

「ちょっと待ってください。

直前での変更は止めてください。」


マックスウェル

「戦力の追加なんだから文句は無いだろ。」


ディオン

「彼らの安全は保障出来ませんよ。」


マックスウェル

「実力は間違いない。

俺が許可する。」


ディオン

「・・・仕方ない。」



ゲイル

「翼竜の一刺の皆さんは俺たちの実力がわかってないみたいだな。」


ウィッツ

「世代交代を痛感するんじゃないか?」


コリンズ

「2人とも活躍し過ぎたらダメですよ。あくまでもサポートですから。」


なんか、言いたい放題だね。


ロイズ

「ディオンさん。

3パーティーの合同任務、

リーダーはディオンさん、

自衛責任は各自で負う。

以上でどうですか?」


ディオン

「・・・仕方ない。

我々が前方。

ロイズさん、アキラ君が中央。

後方を黄金の杯。

フォーメーションはこれでいく。」



ディオンさんの指揮のもと、僕たちは巣に突入していく。巣は幅3メートル、高さ3メートルぐらいの大きさの通路が続いていく。


翼竜の一刺は前衛3人が盾と槍を装備している。暗心メガネを装備しているのもこの3人だ。この3人が並んで通路を塞いで敵を受け止める。

そして後列に弓使いと魔法使いが控えている。弓使いは軽装で動きやすそう。本来は斥候的な役割もするのかもしれない。

ちなみに、装備している槍はワイバーンのドロップアイテムで手に入る槍だ。

攻撃力は高いけど、この狭い通路では使いにくいかも。でも易々とフレイムアントを貫いている。


ロイズさんは一方向を照らすタイプの魔道カンテラで戦いやすいように前方を照らし続けている。

もう1つの全方位を照らすタイプはドラに持ってもらっている。


更に後ろから黄金の杯がついてくる。

大丈夫かな?

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