翼竜の一刺

翼竜の一刺。

Bランクの冒険者パーティー。

日頃はワイバーンを相手に戦っているベテラン冒険者だ。

デラーノさんのお店でワイバーンのお肉が食べられるのも彼らのおかげなのだ。

彼らはリーダーのディオンさんと同年代のメンバーが集まった5人組。

パエルモでは有名なパーティーらしい。

ここ数年、パエルモ最強と呼ばれているパーティーなんだって。




僕は冒険者ギルドを出た後、

コーラル商会に立ち寄った。

一応、報告しとこうかな、と思って。


トマーシュさんとロックさんがいた。

トマーシュ

「あれ、アキラ君どうしたんだい?」


「今日は色々とありまして・・・。」

フレイムアントのこと、

ロイズさんに頼まれたこと、

明日討伐に参加すること、などなど。


トマーシュ

「なるほど。

大変でしたね。

でも一市民としては、『翼竜の一刺』とアキラ君が討伐に参加してくれたことに感謝しますよ。フレイムアントの被害は無視出来ません。農業が産業の柱であるパエルモにとっては死活問題ですからね。」


ロック

「しっかし、

あのバカギルドマスター、

昔よりも悪化してるんじゃないか?」


「知り合いなんですか?」


ロック

「知り合いじゃねぇよ。

相手は冒険者ギルドのギルドマスターだからな。有名人だよ。

悪い方でな。」


「でもロイズさんの上司なんですよね?」


トマーシュ

「ロイズさんがいるから冒険者ギルドは成立しています。マックスウェルさんだけだと破綻しますよ。」


「そんなにですか?」


トマーシュ

「彼は貴族出身のお飾りマスターだからね。仕事にはほとんどノータッチとの噂ですよ。関わるのは利権絡みの案件だけとか。」


「じゃあ、今回も利権絡み?」


トマーシュ

「どこかの貴族から早く解決するように圧力があったのかもしれません。

まぁ、あのギルドマスターとは関わらないことです。」


「わかりました。

それにしても、Cランク冒険者ってそんなにいないんですか?」


ロック

「いるけど既に護衛の仕事を受けてるんだよ。商人の護衛をやってる方が安全で収入も良いからな。わざわざフレイムアントの巣に突っ込むような依頼を受けないよ。」


「そういうものなんですね。」


ロック

「よほどの場合は緊急召集で冒険者を集めるだろうけど、それをやると関係各所からクレームが入るだろうからな~。」


「どうしてですか?」


トマーシュ

「Cランク以上の冒険者を強制的に集めるんです。元々雇ってた商人たちからすると業務に支障が出るからね。

誰もが納得するような緊急事態じゃないと出来ないだろうね。」


ロック

「農村にフレイムアントの被害が出た程度じゃ緊急召集は出来ないだろうな。

普通ならDランクの冒険者を数多く使って、巣の外に出てきたフレイムアントを倒す。

それから、巣の出入口を常に見張り続けて、戦力が整うまでの時間を稼ぐのが常套手段だろうな。

時間はかかるし、長期間Dランクの冒険者を使うことになるから費用はかさむが確実な手段だろうな。」


「ディオンさんもロイズさんも同意見だったみたいです。

強行を主張してたのはギルドマスターだけだったな~。」


ロック

「俺でもわかることなのにな。」


僕はロックさんとトマーシュさんに色々教えてもらって、お店を後にした。




翌日。

朝から出発だった。

ロイズさんも冒険者スタイル。

革鎧に弓を装備した姿は新鮮だね。


ディオンさんたち『翼竜の一刺』も勢ぞろい。おじさん5人組。元の世界ならゴルフバックを背負ってそうな雰囲気。

全員既婚者で子持ち。

ディオンさんも3人の子どもがいて、上のお子さんは僕とほとんど変わらないらしい。

異世界はやっぱり凄いね。

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