帰還の祝い

デラーノさんのお店にて。

個室を借りている。


ガロッソ

「みんなの無事を祝しての食事会だ。

心行くまで食べて、飲んでくれ。

乾杯!」


豪華な食事がどんどん運ばれてくる。

大人たちはお酒も飲んでいる。

運んでくれているのはアイラさんとマユラさん。


ガロッソ

「それで、どれぐらい強くなったんだ?」


バニング

「全員がレベル50を突破しました。

戦闘能力ではAランクの冒険者に比肩するぐらいです。」


マヘリア

「凄いじゃない!

みんなの給料もアップしないとダメね。」


ロック

「やったぜ!」


ミレイ

「今回のダンジョン探索で、我々も相当の収入を得ました。

過剰な報酬は頂けません。」


トマーシュ

「能力に見合った金額は払わないと他の人たちとのバランスもあるからね。」


ガロッソ

「まぁ、恩義に感じてくれるなら、このままコーラル商会の専属護衛を続けてくれ。」


バニング

「これほどの厚待遇の仕事を辞めるつもりはないさ。」


ロック

「ああ、恩には応えないとな。」


ミレイ

「当然です。」


ガロッソ

「ありがとよ。」



コーラル商会と護衛たちの関係は良好みたい。僕が心配するようなことじゃないけど。


マヘリア

「アキラ君はどうだったの?」


僕は、

ダンジョンを最下層まで攻略したこと、

スプーンを手に入れたこと、

モンスターたちが進化したこと、

そんな話を報告した。


みんなが僕の話に笑ったり、ツッコんだり。

楽しいな。

僕が元の世界では感じられなかった感覚だ。

他愛ない話でワイワイ盛り上がる。

単純だけど幸せだ。


ガロッソ

「そう言えば、アキラの店の工事もかなり進んでいるぞ。

明日見に行ってみろ。」


「そうなんだ!

楽しみだな~。

僕の店。」


しばらくみんなでワイワイしていると、

デラーノさんがリィズ、フィオ、アイラさん、マユラさんを連れてきた。


デラーノ

「アキラ、元気そうだな。」


「デラーノさん、お久しぶりです。」


デラーノ

「今日の料理、どれをリィズとフィオが作ったかわかるか?」


「パイとスープとブルスケッタかな。」


デラーノ

「相変わらず凄いな!

全部正解だ。」


リィズとフィオが目を丸くしている。


パイはごろごろ肉のミートソースとチーズが入って、揚げてあった。かじると溢れるチーズが破壊力抜群。

スープは茸が数種類入っていて、それぞれの茸の食感を楽しめる。香りと旨味が贅沢な一品。

ブルスケッタはクリームチーズとナッツ、それに内臓系の煮込みが乗っている。臭みは無く、アクセントのナッツが効果的。


「なんとなく、だけどね。

リィズとフィオの料理、凄く美味しかったよ。」


リィズ・フィオ

「「ありがとうございます!」」


デラーノ

「2人とも良い才能を持っているぞ。

後は自分の努力を積み重ねていけばいい。

いつでも卒業出来る。

後はアキラの店の準備が整ったら、いつでも卒業していいぞ。」


リィズ

「本当ですか!?」

フィオ

「私たち、まだまだ未熟ですよ!」


デラーノ

「基本は出来ている。

後は自力で研鑽を積んでいくだけだ。

うちの店にいても、他の店にいても、やることは変わらねぇ。

十分にこのデラーノの弟子と名乗れるレベルだ。

よく頑張ったな。」


リィズ・フィオ

「「ありがとうございます!」」


2人が深々と頭を下げる。


デラーノ

「と言っても、店の開店まではまだ時間がかかるだろ。

これだけ言ってなんだが、まだウチで働いていいからな。」


リィズ・フィオ

「「はい!」」


デラーノ

「アイラとマユラも、まぁ、いつ辞めてもいいぞ。」


マユラ

「オーナー、

もっと感動的な言葉はないんですか~。」


デラーノ

「ない。

どこでも通用するホールになったんだ。

どこでも適当に働いてくれ。」


マユラ

「リィズちゃん、フィオちゃんと扱い違い過ぎないですか~。」


アイラ

「2人の頑張りは目を見張るものがあった。それに比べてマユラは適度にサボっていた。その違いだ。」


マユラ

「ちょ、ちょっと~

なんてことをオーナーとアキラ君の前で言ってるんすか!?」


アイラ

「主人に事実を報告する義務があるのでな。すまんな、マユラ。」


「「「ハッハッハッ」」」


みんな仲良しな感じがいいね。

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