百田先生
襲撃に参加させられた奴隷たちはお礼を言いながら、次々に立ち去っていく。
最後に残ったのは、、、
百田
「助けて頂き、有難うございました。
あの、、、
その、、、
その力を見込んでお願いがあります!
私の仲間を助けてください!」
頭を下げる百田先生。
続けて、
「私、異世界人なんです!
一緒にこの世界に来た子どもたちがみんな奴隷にされてしまって、、、
助けてください!
助けて頂けるなら何でもします!」
僕
「お断りします。
あなたたちを助けたのはただの同情。
それ以上のことをするつもりはない。」
百田
「私、教師なんです。
奴隷にされたのは私の教え子たちなんです。私がしっかりしていれば、みんな奴隷になんかされずに済んだかもしれないのに、、、
どうか助けてください。」
僕
「あなたの事情は関係ありません。
助けたいなら、ご自分でどうぞ。」
百田
「なんで、、、
なんで、そんなに力があるのに助けてくださらないんですか!」
僕
「助ける義務も義理もない。
力があれば雑用をなんでも引き受けなければならないのか?」
百田
「雑用!?
子どもたちの命がかかっているんですよ!」
くだらない。
あまりに自分勝手だ。
だんだん腹が立ってきた。
僕
「なら、あなたは弱者を、教え子を常に救ってきたのか?
常に弱者の味方だったのか?」
百田
「も、もちろんです!
出来る限りそうあろうと頑張ってきました!」
僕
「・・・教え子は何人いたんですか?」
百田先生の顔が明るくなる。
僕が興味を示したことに手応えを感じたのかもしれない。
百田
「39人です。
みんな大切な教え子です。」
僕
「何故奴隷に?」
百田
「異世界人は優秀な職業になることが多いんです。だから、みんな優秀な職業だったんです。」
僕
「・・・みんなね~。」
百田
「私を含めて40人。
この世界に来たばかりで何もわからない私達を騙して、全員を奴隷にして売りさばく。
そんなこと許されません!
どうか助けてください!
今、こうしている間も教え子たちが苦しんでいるかもしれないんです!」
僕は顔にまいた布を外す。
僕
「本当に全員が優秀な職業でしたか?
本当に全員が奴隷になりましたか?」
百田
「馬場君、、、」
僕
「どうやら僕はあなたの教え子にカウントされていないみたいですね。」
百田
「そ、そんなことないわ!
状況をわかりやすく説明するために、少し省略しただけで、、、」
僕
「そうですか、、、
目の前で『省略』されるのは怒りしか感じませんでしたよ。」
百田
「ごめんなさい!
謝るわ!
だから一緒にクラスメイトを助けましょ。
仲間でしょ。」
僕
「くだらない戯れ言はもう止めてください。助けたいなら、あなた1人でやってください。僕を巻き込もうとしないでください。」
百田
「巻き込むなんて、そんな、、、
私はただクラスのみんなを救い出したいだけで。」
僕
「『クラスのみんな』を救うために僕に危険な役目をさせる訳ですか。」
百田
「だって!
だって、馬場君は強いでしょ!
なら少しぐらいの危険は大丈夫でしょ!
クラスメイトが心配じゃないの?」
僕
「まったく。
赤の他人だよ。他人の心配なんてしている余裕は無いよ。」
百田
「仲の良いクラスだったじゃない。
どうして赤の他人なんて言えるの?」
僕
「ふ~。じゃあ僕が仲の良かったクラスメイトは誰?」
百田
「え、あ、えっと、、、
そうだ! 前田君。
前田君、それに長田君。
よく一緒にいたよね。」
僕
「それは仲が良かったんじゃなくて、クラスで浮いてる人間が集められていただけだよ。」
百田
「そんなことないわ。
まずは前田君や長田君を助けましょ。
それでどうかしら?」
僕
「あなたは本当に弱者を見ていないですね。僕を含めて、3人は職業『市民』になって奴隷の価値すら無いって捨てられたんですよ。
前田君と長田君は僕の目の前でモンスターに殺されましたよ。」
百田
「あっ、、、
その、、、ごめんなさい。
気が動転してて。
でも他のクラスメイトがそうならないように力を貸して!」
僕
「平行線だね。」
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