炎の賢者
また1人、襲撃者が投げナイフの餌食となり、踊り場に倒れる。
しかし、襲撃者の追加戦力が階段下に集まる。
襲撃者の1人が特大の炎の塊を撃ち出す。
階段の上は爆炎に包まれ、護衛たちは火だるまになる。
その隙に襲撃者たちは階段を駆け上がり、護衛たちにトドメを刺す。
爆発音に驚いたのか、赤ん坊の泣き声は激しさを増す。
僕は一気に駆け出す。
そして、襲撃者の先頭集団を襲う。
狭い廊下で僕のメイスから逃れる術は無い。
先行した襲撃者たちを全滅させ、襲撃者の本隊を狙う。
まずはリーダー格の襲撃者。
先ほど炎の魔法使いや後発隊に階段を駆け上がるように指示を出していた。
僕に向かって来る者を無視し、一瞬でリーダー格の前に出る。
僕を止めるには力不足だよ。
僕のメイスがリーダー格にめり込む。
そして崩れ落ちる。
ん?
関係無い5人がふらついて倒れた。
なんだ?
でも、ダメージがあった訳ではないらしい。
よろめきながら起き上がる。
違和感を覚えたので、鑑定アイテム『知りたがりの虫眼鏡』を使う。
あ~、なるほどね。
ごそごそ。
僕がそんなことをしている間に、
僕に襲いかかる者、
立ち尽くす者、
逃げようとする者。
バラバラに動き出した。
最早指揮系統が機能していない。
襲って来る者は殺す。
立ち尽くす者は麻痺させる。
逃げ出す者は追いかけた。
僕のスピードからは逃げられないよ。
逃げる者も次々仕留めていく。
屋敷から出ても僕からは逃げられない。
襲撃者
「待ってくれ!
奴隷にされて命令に逆らえなかったんだ!」
襲撃者
「これを見てくれ!
奴隷の腕輪だ!
無理矢理やらされたんだ!」
5人の襲撃者の集団がアピールしてくる。
僕
「知ってるよ。
ほら。」
僕はリーダー襲撃者から奪った腕輪を見せる。奴隷の腕輪に似ているけど、これは『使役の腕輪』。
奴隷の腕輪と対になる存在。
奴隷の腕輪を装着した人間に命令を強制するためのアイテム。
僕は使役の腕輪を装備する。
襲撃者
「なっ!?」
僕
「止まれ。」
襲撃者たちが立ち止まる。
僕
「ついて来い。」
僕の命令に従って、後ろからついて来る。
目立たない場所まで誘導する。
僕
「止まれ。」
5人が立ち止まる。
僕
「覆面を取れ。」
5人が覆面を外し、素顔をさらす。
僕は小さな光の玉を浮かべる。
僕
「えっ!?」
人間が3人。
エルフが1人。
額に角を持つ獣人?が1人。
驚きの声が出てしまった。
知ってる顔があったんだ。
百田先生。
僕の担任教師。
この世界で奴隷にされるのは知っていた。
でも、いきなり目の前に現れると動揺してしまう。
平常心でいこう。
僕
「奴隷契約を解除する。
腕輪を外していいよ。」
奴隷の腕輪は一度着けると簡単には外せない。外す条件は主人が契約を解除し、外すことを認めること。
襲撃者(人間)
「どういうつもりだ?」
僕
「同情かな。
僕も昔、奴隷にされかけたことがあってね。
ちょっと待ってね。」
僕はそう言うと、
マジックバックから大きな布とお金を取り出した。
僕
「さすがにその格好で歩いてたら捕まるでしょ。この布をマントみたいにして隠しなよ。それと1人1,000ウォンカあげる。
これを使ってうまく逃げな。」
襲撃者(人間)
「どうしてそこまで?」
僕
「アフターサービスだよ。
さすがに、その格好でお金も無しで、とりあえず逃げろはハード過ぎるでしょ。」
襲撃者(角の人)
「俺は百鬼衆のアイゼン。
この恩は一生忘れない。
俺はアカツキ王国に行く。
もし困ったことがあれば何でも言ってくれ。受けた恩は返す。」
僕
「ありがとう。
そこまで気にしなくていいけどね。」
襲撃者(人間)
「俺は反帝国レジスタンスのマークだ。
あんたほどの実力なら、いつでも大歓迎だ。興味があればいつでも来てくれ。」
襲撃者(人間)
「俺はレックス。ガキの頃から奴隷だったからな。これからは気楽に冒険者でもやるよ。ありがとよ。」
襲撃者(エルフ)
「私はゼラーノ。
あなたの慈悲に感謝します。
私は村に帰ります。
もし来られた際は歓迎しましょう。」
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