山賊

バニング

「くだらんな。

我々には貴様らにくれてやる物はない。」


山賊

「おいおい、

この人数差がわからないのか?

死にたくなければ全財産を置いて逃げな!」


バニング

「ザコが何人群れてもザコだ。

とっとと道を開けろ。」


山賊

「ふ、ふざけるな!

つべこべ言わずに荷物を置いていけ!」


あまりにも相手にされず叫び出す山賊。


イリーナ

「山賊と戦うのは危険じゃないかしら。

交渉を妥結して、デモールに入った方がいいのでは?」


イリーナさんが山賊にも聞こえるようにバニングさんに声をかける。


山賊

「女の言う通りだ。

そうだな、武器だけ置いていけ。

それで見逃してやるぞ!」


バニング

「ダメだな。

武器を渡した後にお前たちが襲ってこないとも限らない。」


山賊

「安心しろ。

約束は守る。」


バニング

「山賊の言葉など信用ならん。」


イリーナ

「食糧ならどうかしら?」


山賊

「食糧程度じゃダメだ!」


ざわざわざわざわざわざわ


山賊たちがざわつく。


山賊

「黙っていろ!

食糧プラス剣4本。

それでどうだ!」


バニングさんがチラリとイリーナさんを見ると、イリーナさんが頷く。


バニング

「茶番は終わりだ。

我々を通すか、死ぬか。

どちらか選べ!」


山賊

「な、何を言ってるんだ。

そうだ、わかった、

武器はいい。

食糧だけでいい。

それで見逃してやる。」


バニング

「問答無用!

通すか、死ぬか。

2つに1つ!

さぁ、選べ!!」


山賊

「ク、クソッ!

後悔させてやる。

かかれ!」


山賊たちが駆け出す。

だが連携は悪い。

動きはバラバラだ。


僕はさっきまでしゃべっていた山賊のリーダーっぽい男と周囲の山賊を眠らせる。

リーダーが倒れたことで動揺する山賊たち。

動きが止まる者。

そのまま突っ込んで来る者。

逃げ出そうとする者。


突っ込んで来た者から順に眠らせていく。

逃げ出そうとした者は、

ドラが足元をすり抜け転ばせる。

ガウが回り込み威嚇する。

あるいはリンが麻痺攻撃で足止めする。


もう突っ込んで来る者はいない。

逃げたくても逃げられない山賊たちを次々に眠らせていく。



あっという間に全員眠らせることに成功。

山賊たちを一ヶ所に集める。

全員の武器を奪ってしまう。


バニング

「どう見る?」


イリーナ

「装備の格差が大きいですね。

数人を除いて、他は市民がとりあえずなんでもいいから武器を持ったというのが実情でしょうね。」


バニング

「やはりな。主力は兵士か?」


イリーナ

「おそらくは。

山賊に見せかけてはいますが、装備が整い過ぎています。」


バニング

「やはり街ぐるみだろうな。

山賊にしては清潔過ぎる。」


イリーナ

「おそらく首長の指示でしょうね。

裏道に回って街に寄りつかない商人への嫌がらせでしょう。

商品を奪った挙げ句に街に立ち寄るように仕向けるのが目的といったところでしょうか。」


バニング

「悪質だな。ラエルの街道にも手を出しているかもしれんな。」


イリーナ

「そうですね。

おそらく、そちらが本命じゃないですか。

こちらはついで程度でしょう。

だから、市民で人数をかさ増ししているのかもしれませんね。」


バニング

「本来なら街に連行するところだが、街ぐるみなら無意味だな。全員殺すか?」


バニングさん、なかなか過激。


「ちょっと試したいスキルあるから試していいかな?」


バニング

「好きにしてかまわないぞ。

山賊になった時点で何をされても文句は言えない。」


今まで使ってなかったスキルを試してみよう。

『スキル強奪』

強欲を手に入れた時に手に入れたスキル。

これだけ使ってなかったんだ。

スキル習得はパッシブで発動。

スキル殺奪はモンスターを倒した時にお世話になっているからね。


鑑定用アイテム『知りたがりの虫眼鏡』を用意しながら試してみる。


スキル強奪を発動すると眠る山賊から小さな光の玉が飛び出し、僕の体に入ってくる。


『運搬』というスキルが手に入りました。

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