事前練習

そして翌日。

今日は僕とヒナタさんでレベル上げの準備だ。

と言っても、装備はダンジョンで手に入れて余っている物を使うのでほとんど買う必要は無い。

武器はあんまり重たいのは使いにくいと思ったから、ショートソードにしました。

防具も鎧じゃなくて服タイプ。


『妖精の短剣』

可愛らしい羽飾りが鍔になっている短剣。

2つあればリィズとフィオにあげようと思ってたけど、1本しか手に入らなかったので保留にしていた。

ミスリルのショートソードより高性能。


『二極の服』

赤と青のストライプ。

「ちょっと派手過ぎませんか」とヒナタには不評だった。性能は良くて、火と氷の耐性がついている。マントで隠すことで妥協してもらった。


後はアクセサリーでステータスを底上げ。

これで準備はオッケー。


それとモンスターの発生場所の情報も昨日の船頭さんからバッチリ手に入れたよ。


後は問題は精神面かな。

いきなり怖いモンスター相手に剣を振るうのは勇気と覚悟がいる。


昼からは街のそばで弱いモンスター相手に気持ちの整理をしてもらおう。



午後。

街道沿いの草原。


「今から弱いモンスターと戦ってもらう。

すごく弱いからまともに攻撃を当てればすぐに倒せる。

でも僕らは剣なんて握ったことも無いし、けっこう抵抗があると思う。でもこの世界で生きていくには避けて通れない道だよ。

防具もつけているし、回復魔法もあるから、怪我は気にせずに頑張って戦ってみて。」


ヒナタ

「わかりました!

やってみます。」


ガウが捕まえてきた角うさぎをヒナタさんの前に放り投げる。


パニック状態だった角うさぎも、目の前のヒナタさんを見て敵と認識する。


ヒナタさんはショートソードを構えるけど、腰が引けて、剣先は震えている。


角うさぎが飛びかかる。

角がヒナタさんに当たる。

ダメージは無い。


ヒナタ

「きゃっ」


着地した角うさぎが再び跳ねる。

ヒット。

でもダメージは無い。


ヒナタ

「あ、あれ?」


「HPがある間はほとんど痛みは無いよ。

気にせずに攻撃してみて。

あと、HPが失くなるとリアルに血が出るから気をつけてね。」


ヒナタ

「やってみます!」


飛んでくる角うさぎに剣を当てる。

剣は角うさぎの体に吸い込まれ、深々と切り裂く。


ヒナタ

「あれ? 倒した?」


「角うさぎはほぼ最弱のモンスターだから、当たりさえすれば簡単に倒せるよ。

今の感覚を忘れないうちに次いってみよう。」


ヒナタ

「え、あ、はい。」


次はドラが角うさぎをヒナタの前に落とす。


再び角うさぎがヒナタさんに当たる。

でもさっきみたいに動揺はしない。


再び角うさぎが跳ねたところを剣で切る。


そこにガウが再び角うさぎを投入。

慣れてきたのか、今度は角うさぎの体当たりを避ける。

そして飛び上がる前に剣を振り下ろす。


その後、数匹問題なく倒した。


ヒナタ

「やった!

レベルが上がりました!」

アップしたステータスは6。

トラベラーは上級職でした。


その後、ゴブリンで練習しました。

やっぱり角うさぎより抵抗はあったみたいだけど、無事に倒せた。



その日の夜。

ミレイ

「なんて装備をさせているんですか!?」


ヒナタ

「ひっ!?

すいません! ダメでしたか?」


ミレイ

「いえ、ヒナタが悪い訳じゃない。

驚かせてすまなかった。

そのショートソードも服も超がつくほどのレアアイテムだ。Aランクの冒険者が装備するような物なんだ。

間違ってもホイホイ素人に貸す装備ではない。」


マヘリア

「ミレイ、諦めなさい。

アキラ君に普通を求めても仕方ないわ。

それよりも明日行く場所を決めましょ。」


ミレイ

「ベルフォーム周辺の定番レベル上げスポットは、ファスト高原です。

グランドタートルという亀のモンスターが標的です。

このモンスターは一定のダメージを与えると、甲羅に入って出てきません。

まったく動かないので、火をつけて倒してしまいます。

安全に倒せて、レベル15ぐらいまで上げられるモンスターです。」


レベル15か~、

安全でも魅力がないな~。

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