異世界転移


「えっ!?

なんでわかるの!?」


ヒナタ

「一時期、凄いニュースになってたんです。

『クラス全員が突然の失踪。

防犯カメラには学校を出た形跡なし。』

そんな感じで、いろんな推測が飛び交ってました。」


「それでどうなったの?」


ヒナタ

「別にどうもなってないです。

最初はしきりにテレビとかネットで話してましたけど、新しい情報が出てこないから、次第に話題にのぼらなくなりました。」


「そうか、、、。

そりゃ、そうだよね。」


ヒナタ

「他の人はどうなったんですか?」


「・・・わからない。

僕らが最初に出会ったのは人さらいだったんだ。親切な顔をして、世話をしてくれたよ。

でも、それは優秀な職業の異世界人を奴隷として売るためだったんだ。

僕はショボい職業で売り物にならないから、そのまま捨てられたんだ。捨てられたのは僕を含めて4人で、そのうち2人は死んだ。

捨てられなかった残りのクラスメイトたちがどうなったかは知らない。」


ヒナタ

「・・・そんな、、、」


「これがこの世界の現実だよ。」


マヘリア

「死なずに生き残れたヒナタちゃんは運が良かったと思うよ。もしかしたら、生き残るのに役立つスキルがあったのかもしれない。」


ヒナタ

「スキル。

確か、さっきのステータスの画面に、

持久力とセーフティゾーンってスキルがありました。」


マヘリア

「名前から判断すると持久力がアップするスキルと安全な空間を作るスキルかな?

モンスターから逃げたり、隠れて眠れたのはこのスキルのおかげかもね。」


ヒナタ

「はい。」


マヘリア

「それと、

簡単にスキルも公開しちゃダメよ。

トラベラーって職業もレアだし、セーフティゾーンってスキルもレア。

あなたの職業とスキルが広まると狙われるリスクが増えるわよ。」


ヒナタ

「すいません。気をつけます。」


マヘリア

「さてと、そろそろ寝ますか。

私たちはベルフォームって街に向かって移動しているところなの。

そこまで一緒に行く?」


ヒナタ

「連れていってもらえますか?」


マヘリア

「もちろん。その代わり、料理の準備とかは手伝ってね。」


ヒナタ

「はい!よろしくお願いします!」

元気よく頭を下げるヒナタ。

たぶん、この反応が素なんだろうな。

ようやく安心してきたのかも。



翌朝。

再び魔動車で出発。

道中はいろいろな話をした。

この世界のこと。

コーラル商会のこと。

リズムリア王国のこと。

僕のお店のこと。


少しでも情報はあった方がいいからね。

ヒナタさんも熱心に聞いていた。

ちなみにヒナタさんは高2で、1つ年下だった。


昼ごはんは昨日狩った角うさぎの肉を挟んだサンドイッチ。食べやすいようにお肉はそぼろ状にしてある。

飲み物はもちろんミルク。

凄いのは、作った料理も劣化防止のスキルがついたマジックバックに入れておくと、全然劣化しないことだ。

作りたてに近い感じで食べられる。


夜はトンカツ。

途中で豚のモンスターをガウが狩ってくれた。ミレイさんが解体して肉を取り出してくれた。

ヒナタさんは解体風景に引いてた。

豚を捌いて、内臓出してってのは衝撃映像だろうね。

一回草むらに屈んでいたので、リバースしてたのかもしれない。


食べたら美味しかったみたい。

意を決した感じで食べてたけど、元の世界でも、目の前じゃないだけで、同じように解体はしてるからね。

多めに揚げたから、明日はカツサンドかな。

でももうすぐベルフォームに到着だしな~。

食べるタイミングあるかな?

まぁ、劣化防止のレベルが高いマジックバックに入れると1週間後でも、全然問題なく食べられるからいいんだけど。


ベルフォームの滞在はだいたい1週間の予定。マヘリアさんは何件か商談があるらしい。僕も海外から来る輸入品も興味がある。

それに料理も興味がある。

美味しかったらいいな。

港町だし、やっぱり海鮮でしょ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る