まさかの遭遇

ボゥの走りは快調だった。

僕ら以外に街道を走る馬車や魔動車はない。


しばらくは何事もなく走り続けた。


そして、


ガウ

『来たみたいだぞ!』


リン

『どうする~。

倒しちゃう?』


「いや、極力倒さない方向で。

ボゥはそのまま走り続けて。

僕が威圧するから、それでも襲ってくるヘルハウンドはガウ、リン、ドラで倒して。」


ガウ・リン・ドラ

『『『わかった!』』』


森からどんどんヘルハウンドが出てくる。

赤黒い大型犬って感じ。

襲う気満々だね。

牙をむき出して駆けてくる。



「威圧」

とあるボスモンスターから獲得したスキルだ。成功すると相手をショック状態にしてしばらく行動不能にする効果がある。

成功率は能力差により左右される。

僕とヘルハウンドの能力は絶大な差がある。


もちろん威圧成功。

威圧が成功すると走っていたヘルハウンドが転倒した。

そりゃ、そうか。

全力で走っている最中に体が動かなくなるんだから。


いきなりの転倒に真後ろのヘルハウンドも巻き込まれる。


僕は威圧を連発。

次々にヘルハウンドが倒れていく。


その間もボゥは走り続けている。

ヘルハウンドも必死に囲もうとするが、次々に威圧の餌食になっていく。


ボゥの前方を押さえたいヘルハウンドと、それを許さない威圧攻撃。

ボゥが駆け抜ける。

それでもヘルハウンドは諦めずに追いかけてくる。

そりゃ、リヤカーを引くボゥよりヘルハウンドの方が速いからね。


でも追いかけるヘルハウンドは格好の的。

バンバン威圧していく。


そして、ついにヘルハウンドが諦めて追いかけるのを止めた。


ミレイ

「いったい何だったんだ?

次々ヘルハウンドが倒れていった、、、」


「言われた通り殺さずに通過したでしょ。」


ドラ

『チェッ、俺の活躍場面がなかったぜ!』


「いやいや、

みんながいるから安心して戦えたんだよ。」


マヘリア

「面白いものを見せてもらったわ。

バニングさんの想像を上回っているんじゃない。

そろそろ魔動車に乗り換えましょうか。」



ボゥを止まらせてリヤカーを収納。

そしてマジックバックに入れていた魔動車を外に出す。

大型トラックが入るバックって凄いよね。

マジックバックの容積拡大もレベル5を超えると強烈だ。

ちなみに僕の持っているマジックバックの最大は容積拡大レベル8。

倉庫を数棟持ち歩けるような感じだ。


魔動車に乗り込み再スタート。

後は特に問題無いはず。

ベルフォームまではゆっくり出来るかな。



ガウ

『何かいるぞ。』


えっ!?

ガウがわざわざ言うってことは普通のモンスターとかじゃないってことだよね。


リン

『見てこよ~か~』


「お願い。」


リンがフワ~っと飛んでいく。


リン

『人が倒れてるよ~。

一応生きてるね~。』


マヘリア

「さすがに見過ごせないわね。

助けましょう。」


ミレイ

「わかりました。

ですが罠の可能性もあります。

慎重に対応しましょう。」


そんな罠もあるんなんて。

やっぱり、この世界、怖い。


「リン、連れてきて。」


リン

『オッケ~』


すると、リンがお姫様抱っこして戻ってきた。

小柄だな。

女の子?

子ども?

女子高生でした。

うん、見間違いはないと思うよ。

だって制服着てるし。

ブレザータイプだね。

さすがに制服見ただけで学校はわからない。


顔は汚れて、髪の毛も乱れている。

気を失ってるのかな?



「この格好、異世界人ですね。」


マヘリア

「やっぱり、そうよね。

服がアキラが最初に着ていた服に似ているものね。

この森をさ迷って来たのかしら?

疲れか、空腹か、どちらにしても休息が必要ね。

もうすぐ夕方だしここで夜営しましょう。」



今日の夕食のメインは角うさぎのソテー。

ガウがすぐに狩ってきてくれました。

それと、女子高生が起きた時に食べられるようにパン粥を用意。

パンをボゥのミルクで炊く。

優しい味わいだね。空腹で食べても胃に負担がかからないと思う。


僕たちは食事を始めたけど、女子高生は眠ったままだ。よほど疲れたのかな。

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