予期せぬ出会い
強くなったのはモンスターたちだけじゃない。
人間も強くなってるよ。
僕はレベル40を突破。
覚えたスキルは『貧乏くじ』。
使用するとモンスターに狙われやすくなる。
名前の割に意外と便利なスキルだった。
それと、もう1つ。
『市民』として新しいスキルを覚えた。
その名も『太鼓持ち』。
パッシブスキル。
レベル1の状態で、
常時仲間の全ステータス+1
破格の性能だった。
覚える条件が、
『愛想笑い』、『拍手』、『ヨイショ』の3つのスキルレベルが合計10に到達することだった。
延々と使用し続けてきた甲斐があったよ。
しかも、このスキルはレベルが上げられる。
おそらく3つのスキルのレベル合計が上がれば、『太鼓持ち』のレベルが上がるみたい。
これはこれからも『愛想笑い』、『拍手』、『ヨイショ』を鍛え続けるしかないね。
なお、このスキルの内容をアイラさんに伝えたら、
アイラ
「口外しない方がいいな。
こんなスキルを軍部が知れば大量の『市民』を強制的にレベルを上げさせるぞ。」
仲間の範囲がどこまで適用されるのかはわからないけど、市民を100人とか集めれば、確かに最強の集団が出来上がるかもしれない。
市民の真価は集まることで発揮されるってことかな。
もちろん、レベルアップは僕だけじゃない。
アイラさんとマユラさんもアップしている。
もうすぐレベル40に到達出来そうだ。
能力的にもBランク相当らしい。
Bランクと言えば、冒険者全体の数パーセントしかいないエリート。大半の冒険者はCランクに上がれず冒険者生活を終えるんだから、Bランクがどれだけ強いかわかるだろう。
ただ、別に冒険者ランクを上げることを目的としていないのでランクアップの申請はしていないけどね。
マユラさんが敵の攻撃を惹き付け、アイラさんが倒す、というスタイルが出来上がっている。
そんなある日の夕方。
ダンジョンの入口付近で、イリーナさんにボゥを預けて、僕たちは宿に帰ろうとしていると声をかけられた。
「アキラ君、久しぶりだね。」
声のした方を見ると、アルバンで色々教えてくれたディーンさんがいた。
更に、
「えっ!? 馬場くん?」
久しぶりの呼ばれ方に驚く。
そこには小川恵梨香がいた。
僕のクラスメイトだ。
確か、職業はハイテイマーだったはず。
テイマー系だったため奴隷にはされず、僕らと一緒に捨てられたんだ。
僕らとは行動を一緒にしなかったから、どうなったかは知らなかったけど、生きていたんだ。
僕のことを見下してる感じだったから、別に嬉しい再会でもない。どちらかと言うと、あまり会いたくはなかった。
ディーン
「エリカ、まさか彼も君と同じなのか?」
エリカ
「そうよ。でも『市民』なのによく生きていられたわね。」
その発言を聞き、アイラさんが刀を抜き、切先を小川さんに向ける。
アイラ
「こんな場所で人の職業をべらべらと口外するな!
次に同じような行いをすれば、敵対行為と見なして斬るぞ。」
エリカ
「ひっ!? な、なによ!」
アイラさんが冷静に、しかし、威圧感たっぷりに言うと、小川さんは震えながらも言い返す。
ディーン
「申し訳ない。
仲間の非礼を詫びさせてほしい。
言い訳にはならないが、エリカは冒険者になって日が浅いんだ。
すまない。」
僕
「気にしてませんよ。」
ディーン
「ありがとう。アキラ君たちもダンジョンに挑戦しているのかい?」
僕
「ええ。
ディーンさんもですか?」
ディーン
「そうなんだ。
エリカが加入して、うちのパーティーも戦力が充実したからね。
冬場ダンジョンで稼いで、春にはゴーレムの庭に挑戦するつもりだよ。」
ディーンさんの後ろには2人の冒険者。
小川さんは2体のモンスターを連れている。
この4人+2体のパーティーのようだ。
僕
「頑張ってくださいね。
来年には、Cランクにチャレンジですか?」
ディーン
「高い壁だけど、挑戦しようと思ってる。
アキラ君たちもこの冬はダンジョンかい?」
僕
「いえ、そこまで長くはいません。
でも当分はここにいるので、また会うかもしれませんね。」
ディーン
「そうか。お互い頑張ろう!」
ディーンさんはやっぱり爽やかイケメンだな。そういうセリフが良く似合う。
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