ヒルギスの街に着く前に
数日後、
ヒルギスの近くまで来ました。
途中、いくつかの街に立ち寄ったけど、これと言って個性はなかった。
水や食糧などを購入するだけで、サクサク通過していった。
イリーナ
「もうすぐヒルギスに到着します。
その前に色々と説明しておきますね。」
僕
「お願いします。」
イリーナさんは博学です。
イリーナ
「ヒルギスはダンジョンを中心とした特殊な街です。
多数の冒険者が集まり、その冒険者が集めてくる素材を目当てに商人たちも集まっています。非常に活気があり、フラメル王国最大の都市です。
ダンジョンは外から見るとただの大きなほら穴ですが、中は異常な広さになっています。
ダンジョンはいくつもの階層から出来ており、どんどん降りていく構造になっています。
ダンジョンの中には多数のモンスターがいます。階層毎に異なる強さのモンスターがいて、冒険者は自分の強さに合った階層でモンスターを倒して稼いでいます。
通常、強いモンスターは街から離れたへき地まで行かなければなりません。でもダンジョンならすぐに行って、すぐに戻ってこられる。非常にメリットは大きいです。
ここまででご質問は?」
僕
「ダンジョンもどうせ強いモンスターは深く潜らないといけないんでしょ?
どうやってるの?」
イリーナ
「ダンジョンは特殊な構造をしています。
一度到達したことのある階層には入口から転移出来ます。
転移先は各階層のセーフティゾーンです。
各階層は、
セーフティゾーン。
迷路。
ボス部屋。
そしてボス部屋の先に次の階層に続く階段。
階段を降りた先がセーフティゾーン。
それの繰り返しです。
セーフティゾーンからはダンジョンの入口に転移で戻ることが出来ます。」
僕
「なるほど、すごく効率がいいね。」
イリーナ
「そうですね。
冒険者が集まるのも道理です。
アキラさんの目的はマジックバックですよね。」
僕
「うん。
マジックバックを手に入れたいね。」
イリーナ
「マジックバックは各階層のボスを倒した時に手に入る宝箱に入っていることがあるようです。ボスは倒すと宝箱だけを残して死体は消えてしまうらしいです。」
僕
「じゃあボスを倒せばいいのね。」
イリーナ
「その通りですが、簡単ではありません。
ボスは他のモンスターより強いんです。
更に各階層で1日1体しか現れません。
そのため早い者勝ちです。
以前は深夜から並んでいたそうですが、今は前日の夕方に抽選券が配布され、翌朝、50組が優先して最初に入れます。
そして、倒したいボスの1つ下の階層に転移して、階段を上がってボスを倒します。」
僕
「じゃあ夕方には戻らないとダメだね。」
イリーナ
「大丈夫です。そういうことを行うのが冒険者サポーターです。」
僕
「なるほど。
ちなみに50組の後はどうなってるの?」
イリーナ
「順番に並んで入ります。
ですが、だいたい冒険者が入るのは40階層ぐらいまでです。50組が終わった時点で慌てる必要はありません。」
僕
「じゃあ、40階層以降はボスドロップを自由に狙える訳だね。」
イリーナ
「だいたい各階層のモンスターは、その階と同じ適正レベルと言われています。
10階ならレベル10という感じです。
そしてボスは他のモンスターより+10というイメージです。
つまり40階層以降でボスを倒すなら、最低でもレベル50は必要になります。
相当厳しいですよ。」
僕
「でもボスを倒したら毎回マジックバックがドロップする訳じゃないんでしょ。」
イリーナ
「ボスを倒した後の宝箱にもノーマルとレアがあります。
マジックバックはレアの1種ですね。」
強欲のお陰でレアドロップの確率は上がってる。それでボスを周回プレイすれば手に入れられる確率はかなり高いんじゃないかな。
僕
「どっちにしても、最初は1階からスタートだもんね。焦っても仕方ないか。」
イリーナ
「そうですね。
1階層突破するのに2~3時間はかかるそうです。当面は階層の更新だけになると思います。」
僕
「明日はどうしようか?」
イリーナ
「まずは2人の装備の購入やダンジョン攻略に必要な物資と情報を集めましょう。
本格的なダンジョン攻略は明後日からですね。」
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